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王道を走れば:幻想にて
第三章、その4の2:拳と杖
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風に膨らむスカートのように下腹部を潰した。
 下敷きとなった男達は死んではいないが、何らかの傷害を受けた事は間違い無さそうである。その光景を見てアダンはにたにたと笑みを浮かべた。

「へへへ・・・」

 これで目に付く王国の兵達は全て打ち倒された事となった。全てが一階フロアに身体を伸ばし、或いは壁や階段の手摺に倒れ掛かっている。
 アダンは踵を返して二階の奥部屋へと走って向かう。その扉を蹴り破ったと同時に部屋の向かい側にある外への扉も開かれ、警備兵の姿が現れる。慌てた様子で剣を抜こうとする兵目掛け、アダンは疾駆の勢いで接近する。

(遅い!)

 瞬きの間に近寄る虎の刺青と威圧的な蛮族風の顔付きに警備兵が顔を歪める。剣に手を添えた兵に、アダンは身を丸めて体当たりを決め込んだ。その勢い、まるでサイが突撃するかのようである。半分開かれた扉と共に兵が吹き飛び、そのまま外の階段の手摺を乗り越えて石畳に激突した。
 後に続いて建物に突入しようとしたミシェルは一瞬怯みながらも剣を抜刀して、階段を登りながら上段に斬り掛る。一歩退いて剣を交わしたアダンは振られた相手の手をむんずと掴み取り、強引にその握力を解いていく。剣を奪い取った後、反抗しようと殴りかかってきたミシェルの顔面を掴み、そのまま片手で持ち上げる。アダンは痛みに叫ぶミシェルを無視し、それを態々部屋へと連れ込み、速足に壁に接近して全力でそれを投げ抜いた。

「よいしょおおおお!!」
「あらぁぁああ!?」

 ばぁんっ、と勢いのままに衝突したミシェルは壁を突き破り、木片と共に一階の床へと落下する。受身を反射的に取って転がりながらも、衝撃の強さに呻き声をあげて苦悶する。

「おいぃ、ミシェルぅう!!もうちょい気張ってくれよおおお!!」

 螺旋階段を上がり掛けていたパックがそれを見て悲鳴を漏らした。陽動に陽動を重ねた狡い手段だ。素直に力押しで攻めればまた違った結末を迎えられたであろうに。
 アダンは意気揚々とパックに接近し、剣を振るわんとする。やけっぱちの表情を浮かべたパックはそれに合わせて下段より剣を合わせる。ぎんっと鳴動する音と共に弾き飛ばされる己の腕にパックは歪み面を浮かべる。一撃があまりに重過ぎるのだ、剣が折れるかと思う程に。だがパックは必死に剣を構え直さんとする。アダンが二度目に振り抜いた剣はその威力だけで、奇跡的にも構えが間に合ったパックの剣を今度こそ叩き折り、そして己の刃を完全に潰した。
 慣性に振り回されるように手摺へと身体を打ち付け、パックはぐっと息を飲み込んだ。その後頭部をアダンは無遠慮に掴み取り、アダンはサファイアの欠片を握ったもう片方の手を、彼の顔の前に翳した。 

「ドワーフの剣を受けて腕が無事のままってのは・・・あんた、意外と腕が良いな。そんな
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