反董卓の章
第25話 「……本当に、これでよかったのかの? 玄徳殿……」
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…い、いえ!」
たんぽぽは、劉表が頭を下げたことに少し慌てながら桃香の横に座る。
「……孟徳殿。まずは落ち着いて、お座りになられよ」
「…………」
劉表の言葉に激情を抑えるように目を閉じ、その場に座る曹操。
噴火する寸前の活火山のように、顔を真っ赤にして憤怒を堪えているといった様子だ。
プライド高すぎじゃないかねぇ……
「うむ……ともかく、陛下からのご温情により、儂らは漢の大逆臣にならずに済んだわけじゃな。すぐにも洛陽に向かい、陛下に御礼申し上げるべきと思うが……」
劉表は俺達全員に視線を向ける。
俺と桃香は頷き、雪蓮は周瑜さんを見て、その周瑜さんもしばし黙考して頷いた。
荀ケはバツが悪そうに己の主人を見ている。
そして最後の一人、曹操は――
―― other side ――
――そして時は戻る。
こうして反董卓連合は『董卓の死』という結果を世に知らしめ、終結することになった。
ある者は賜った恩賞に、足取りも軽く。
ある者は減封という処罰をされ、足取りも重く。
それぞれの諸侯は、自身の領地へと兵とともに帰ってゆく。
だが、この大乱とも呼べる大事件は、次に来たる戦国乱世の予兆でしかないことに気づいているものはいただろうか。
袁家を始め、今回の主犯とも言える諸侯による劉虞討伐軍が新たに編成されたのは、それから二月後の事となる。
その討伐軍の指揮を任されたのは、曹操だった。
そもそもが処罰的な為、著しく士気の低い劉虞討伐軍であるにも拘らず、自領地にて防衛戦に苦戦していた公孫賛を助け出し、返す刃で劉虞軍を粉砕する。
人々はその神がかり的な曹操の采配に、賞賛の声を上げた。
そして曹操は、献帝の後見人として、その地位を確固たるものとしていくのである。
だが、その本人は激しく不満を持っていた。
賞賛の声に、ではない。
なによりその相手であった劉虞軍の弱さにである。
後日、その様子を同行した張遼将軍が呟いたという。
『あれはおかしかったで。それまで散々公孫賛の北平を攻めとったのに、まるでウチらを待っていたかのように勝手に崩れよるん。あんなん、そこらの盗賊でも勝てるで』
だが、その呟きも賞賛の声の中に埋もれていった。
そしてその戦いの中で劉虞は命を落とし、劉虞が治めていた平原は公孫賛が治めることになる。
こうして大陸は再び平穏を手に入れた――かに見えた。
だが、すでに大陸は激しく揺れ動いていたのである。
そう――後世に三国志と呼ばれた時代。
その群雄割拠は、もうすぐはじまろうとしていた。
一人の男の失踪
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