#5『ファーストリべリオン』:3
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だが――――同じ《刻印》を聞いたことがなかったのと同じように、《刻印》を二つ持つ人間など聞いたことがない!!
「それは……?」
「僕が《魔王》として存在する証。僕か君、先に『目覚めた』方にこの《刻印》が与えられる。封じられた術式は《王宮の勅令》……。起動には、君の協力が不可欠だ」
キングは、メイの右手をとると、その左胸に重ねた。
「王である僕と、王妃である君の二人がいなければ、《王宮》は完成しない。二人同時にこの刻印を起動させることで、やっとその力が使える」
「……わかった」
他人の《刻印》を起動させる――――そんなことができるかどうかは知らなかったが、恐らくこの《刻印》に関しては、キングとメイの二人が同時に起動させなければ効力を発揮しないのだろう。すると、なんとなくその使い方が分かってきた。恐らくは《刻印》に直接触れて、外的魔術回路に魔力を流し込む要領で起動するのだろう。
ふとその時、とある考えに行き当たったメイは、顔を真っ赤に染めた。
「ね、ねぇ、キング」
「ん?なに?」
「あのさ……『まえ』の私のこれも、心臓の上にあったの……?」
すると、キングはきょとん、とした後、大笑いを始めた。
「はははははっ!まさか!それは違うよ。けど……場合によっては、もっと恥ずかしい場所にあったかもしれないね……」
「え……?」
「……今言うのは憚られるな。どう考えても18禁指定物だよ……まぁ、とりあえず、『今回』の《王宮の勅令》は僕の心臓の上にある。正式には、この刻印は待機状態。本来は完全に心臓に刻み込まれていて、外からは見えない――――メイ、念じて」
「――――うん」
お互いの額がくっつきそうな距離まで近づいて、メイはキングの左胸に刻まれた《刻印》へと、自らの体内を巡る魔力を注ぎ込む。
《魔術》という概念は廃れたが、決して魔術がなくなったわけではない。刻印魔術はまだあるし、一部の魔術はいまだ行使できる(例えばシュートの使った《通信》の様に支援媒体を要する魔術や、錬金術などがそうだ。もっとも、錬金術も大分廃れたらしいが)。
だからこのように魔力を別のものに伝達することは、メイにも一応できる。事実、《刻印》を使うときは、いつも自分の体内を巡る魔力を左頬に集中させているのだ。それと同じ要領である。
だが、つぎの瞬間に起こった出来事は、今までメイが見たことのない現象であった。
やさしい、琥珀色の輝きがあふれ出る。プリズムの様に光り輝く魔方陣が展開し、あたりを蓋っていく。キングの左胸の《刻印》は眩く光り輝き、どくん、どくん、と彼の心音に呼応して脈煌する。
そして――――プリズムの魔法陣の中から、出現し
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