5話
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者は居なかった……
黒尽くめな人影が三つ、夜を駆ける。
高音・愛衣・士郎の三人だ。
「一つ、聞いてもいいですか?」
指定防衛拠点の付近に到達したとき、愛衣が士郎に向かって問う。
何かね? と何時もの調子で応える士郎に、少し悩みながら尋ね
た。
「今夜、関西からの襲撃はあると思いますか?」
何とも簡潔だが、現状最も重要な事だ。目下、日本に於ける二大魔法関連組織「関東魔法協会」「関西呪術協会」は――表立ては和平を。しかし、水面下では幾らかいざこざがある。主に、関西の過激派が「過去の遺恨」を晴らそうと、関東に巣くう西洋魔法使いを駆逐せよ――そう謳いながら襲撃を繰り返す。
故に、その質問から、従者たる士郎の答に興味を持った高音も問いを含めた視線を向ける。こちら側からの攻勢は有り得ないが、あちらに対する防衛は有り得る。その可能性の程と、理由は襲撃の有り無しを問わず、参考にするのも悪くない。油断は出来ないし、防衛自体は止めないが、自身が考え得る選択肢を増やす知識にはなる。
二人の少女に視線を向けられ、静に考えを纏め、答えを口にする。
「私見だが、おそらく襲撃は無いな」
何故そこに到ったかはわからないが、高音――それとおそらく愛
衣も――の予想とは違っていた。
彼女達の答えに到る訳は簡単だ。単純に防衛力が劣っている隙を突く、それだけ。単純だが、それだけ動機として納得が行く。
「何故、襲撃は無いと?」
愛衣は疑問を率直に口にする。自身の解答との違いに不満は無いが、そこへ到る考え方そのものが気になるのだろう。
自分達と違い、経験値の塊のような人物の意見だ、参考にして悪いことなどない。
高音も、従者とは言え、その経験や知識は讃えて然るモノだと思っている。よって――便乗するワケではないが――再び視線を向ける。よりあからさまに。
またも二人の視線を受け、今度はむぅ、と唸りながらも、性分故に律儀に応える。
「今回、中等部での修学旅行が京都らしくてな。その際に親書を送ったらしい」
噂には聞いている。なんでも「子供先生」と呼ばれ、有名になりつつある人物が中等部の一学級の担任で、その子が親書を届けるらしい。
子供先生は、魔法関係者なら知る、過去の大戦の英雄の子供で、名を「ネギ・スプリングフィールド」と言う。
「勿論、親書も狙われるだろうが――」
「――学園長のお孫さん、ですか?」
思わず口を挟んでしまったが、それだけのVIPだ。ある意味、親書より重要だった。
だが、それでも襲撃無しの根拠には弱い。人員を割くなりあるハズだ。
「例えば、重要性を見てみれば、学園長の孫は何より高い」
コク、頷くと、頷き返される。
互いの見解に違いは無い、と。
「だが、それよりリスクが高い」
その
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