4話
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。だが、高音個人の為に合わせた料理はどれだけのヒトが作れるのか――
「作りたいから作った」「頼まれたから作った」と、そんなどこか退いた場所から出された料理には無いモノ。
「誰かの為に」と作られた料理にこそ――高音の心を満たせるモノなのだから。
「ごちそうさま」「お粗末さま」と作法ではあるが、互いに必要と感じて自然と口にする。
すっかりいつもの高音に戻ったのを確認して、食器を洗いに行く士郎。手伝いを申し出るが、やんわりと断られる。無理に手伝おうとしても、それを機に皮肉を浴びせられては堪らない。引き際は心得ている。
せっかくなので、空いた時間で部屋を片付ける。
そう、今日は日曜日。学業も無いなら身体を休めるも、普段手に付かない作業をするも自由なのだ。
そして、高音にとっては学業の無いこの日は目標の為に使える。何より今日は、ルームメイトが土日の連休を利用して実家に帰っている。秘匿が前提の魔法を使った修練や、その勉強に勤しめる。
事実、ルームメイトが昨日の朝方から実家に帰っており、それから夜までを魔法の勉学に、夜からは実践演習に充てている。思えばそれが今朝の失態に繋がるのだが――とりあえず、そういった機会であることに違いはない。
昨日使った魔法教材を隠匿するように片付け、然も「何も無かった」と言わんばかりにする。
ルームメイトも、今日の夕刻には帰って来るだろう。それまでの時間、有意義に過ごさなくてはなるまい。何より明日からは数日間、忙しくなるのだから。
片付け終わりを見計らったように、仕切り越しに人の気配を感じる。あちらも洗い作業――とついでに台所の清掃も――を終わらせたのだろう。「準備は?」と主語も無く問われ、それに「えぇ」と肯定の意を返す。何の事は無い。既に双方共に事前の了解があるの
だから。
仕切りのカーテンを開き、互いの視線を絡ませると、士郎が折り畳まれたエプロンを寄越す。高音も何の疑問も無く、それを受け取り――
――受け取ったのを確認した士郎が、前触れもなく“消えた“の
だ。
魔法使いと呼ばれる者達にも共通した弱点がある。
「詠唱中は無防備であり、詠唱中断はそのまま魔法の失敗である」
と云うこと。
勿論、それを「ある程度」克服は出来るが、一定以上の大魔法は詠唱の長大さ故に確実性に欠ける。
ましてやインファイトはその展開の速さ故に、一瞬でも隙を見せれば文字通り「折り畳まれて」しまうだろう。
結論から言えば、そういった欠点を何も自ら克服する必要もない。勿論、ある程度は必要だが、完璧に熟さなくて良いのだ。
――ミニステル・マギ――
「魔法使いの従者」の意味を持つ、欠点を補い合うパートナー。
ある契約を交わし、その潜在能力の具現たる「アーティファ
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