3話
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っと――
――自信に満ちたその笑顔のように。自分も「何か」を目指し、
咲き誇れる日が来るかもしれないのだから――
朝の教室での問答は、「何の根も葉も無い噂でした」と相手が折れることでことなきを得る。
不思議と、親しくない自分に「機会があれば、もっと普通にお話しましょう」と言ってくれたのが新鮮だった。
実の所、魔法関係者以外の人とは目標が目標だけに、イマイチ話しが合わない。魔法の秘匿は当然。故に一般人にそんな話しは出来ない。恋愛話やTVの番組について語るくらいなら自身を高める為の修練に勤しむべきだと思っている。
――マギステル・マギ――
魔法を使う者達にとって、この言葉は深い意味を持つ。「偉大な魔法使い」を意味し、それは我欲を捨て、他者の為にその力を使う者。その在り方に憧れて、それを目指している。
他者の為に力を――つまり、それだけに「力」が必要だ。
自身を鍛えねば、他者に回す力など無くなる。常に高みを目指し、頂きに向かい駆け登る。
それが幼少から鍛え上げた己の矜持であり――その為に切り捨てたモノもある。
自分にはたわいもない話しをする相手がいない。
別段それが寂しいわけではないが――それに憧れに似たモノを感じる。
しかし、やはり自身が目指す頂きへの過程に於いては必要の無いモノ。「他者の為」と云う概念は、その基準の曖昧さから自身への妥協が許されない。いざその力が必要な時、「基準がわからなくて鍛えていない」など笑い話にもならない。
故に、その「戯れ」を切り捨てたのだ。
それでも、必要性が無い“戯れ(コミュニケーション)“に、無意識の何処かで憧れを感じている。
いや、無意識の何処かに追いやっていたのだ。意識に昇らないように、自身を律する為に、目標の為の必要な犠牲の一つとして。余分に溺れて自身を見失ってしまう気がして……
それを思い出した。だから、返答に窮する。自己に施した戒めは、その役目を十二分に果たした。
……果たしてしまった。
そんな私を見て、彼女は気分を害した風も無く、綺麗な微笑みで「今すぐでなくても良いのです」と言ってくれた。
嬉しくあり――言いようの知れぬ自身への怒りを感じる。
「他者の為」と謳いながら、その実他者を蔑ろにしている自分に気付く。
魔法と云う力でしか救えない現実があり、魔法でなくても救える事もある。
その境を明確に別けてしまえば、魔法を使える高音は前者だけを見れば良い。――ヒトの心を度外視すれば。
気付いたことは“ソレ“。他者の為と思っていた事が、結果見えない所で他者を傷付けているのでは? という疑問。
確かに、自身には余計かもしれないが――他人には必要なのかもしれない。
「余計」「無駄」そういった高音の目標たる「偉
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