3話
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は衛宮先生にだけは、こんなにも感情を顕にするのだ。
怒って、泣いて、恥ずかしがって。
そのどれも、少しばかり違う色に見える。ほら、そう……家族とかに見せるような。
「他人」とかの区別を知らない「純真」。
「他人」とかの隔壁で隠さない「全て」。
特別であり、常に近いモノ。そんな存在に見せるような感じ。
『これは――騒ぎ立てるだけ、不粋ですよね?』
恋仲とか、そうじゃないとか。そんな簡単な話しではない、と結論。
だったらあーだこーだと周りが盛り上がっても意味はない。
『なんとも、もどかしいですね』
気が付けば、自身の心境に変化があった。こともあろうに「応援したい」などと。
彼女達は恋仲云々を抜きに、非常に良好な関係を築けるはずだ。
目標に互いに向かうパートナーでも、認め合いながら競い合うライバルでも良い。友人としてでも良いし、師弟のような間柄でも良い。
とにかく、そういった「健全」で親密な間柄になることに対してなら、応援する気持ちも吝かではない。
一方で、二人が親密な間柄になるのは、やはり問題でもあるな、とも思う。この場合、「周りからの評価」が問題になる。少なくとも相対する自身は、今現状で「その様子はない」と理解出来るものの、現状を作り上げた噂話とは、端的に言えば他人の評価だ。曰く、「火の無い所に煙りは立たない」。
焚火か火事かは見る人で違う。高音の様子を「ただムキになっているだけ」とする人が居れば、ただややこしくなるだけ。伝えれた「黒い煙り」と云う小さな情報だけで「大火事だ」と言う人も居るかもしれない。
『なんとも……もどかしいですね』
直接相対して初めて彼女が身近なヒトに見えた。逆に言えば――やはり彼女はヒトと違う印象が強すぎる。
意図して目立とうとしなくても、どうしても目立つ。でも、それはあくまで表面的なモノ。華やかさで内面が隠れてしまう。
こうして思い悩み、時には泣いたり怒ったり ――恥ずかしさに頬を染めることもあるだろうに。
だが、「普段」と括られたその見える部分だけを判断材料とした結果――今は自身も後悔している ――この「事件」に繋がった。
「……私には、高音さんが衛宮先生に対して何を怒っているのかわかりません。
わかりませんけど――それは、高音さんにとって『大切なこと』ですか?」
私一人が彼女を理解したとて、物事の解決にはならないかもしれない。
だが、それでも ――級友を手助けしてはいけない理由なんて無い。
だから知ろうと思う。
彼女はこんなにも鮮烈にして――繊細なのだから。
「ええ。とても」
短く答えられた言葉に、ただ短く「そうですか」と返す。理解したつもりになってはいけない。でも、少しでも理解しようと努力するのは間違いではない。
それはき
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