3話
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ある姿が「兄」なのだろう。
では、高音の視点ではどうか?
「高音さんは、衛宮先生をどう思います?」
キョトンとする高音。暫く考え込んで、ゆっくり口を開く。
「……非常に皮肉と嫌味な笑みの多い、純真さを何処かに忘れたリアリストですね」
あまり良い感情の見えない表情と、吐き捨てるようなセリフに、今度はこちらがキョトンとしてしまう。
言っていることは解る。確かにその通りだろう。
でも、
「衛宮先生、優しいですよ?
そんな毛嫌いするような言い方じゃなくても……
人助けとか、色んな技能を役立てる姿勢とか、物凄く尊敬出来るし……
それに、リアリストかも知れませんが、それだって人生経験豊富だから――」
――ガタンッ――
――言葉を遮るように、勢いよく席を立つ高音。
何が気に入らないのか、その表情は嫌悪。静まり返る教室で、驚き以外の唯一の顔だった。
「……ごめんなさい。
確かに、私も尊敬出来ると思います。
――いえ、正直尊敬してます。
でも、彼は“諦めてしまって“いる。
あれだけの“能力“を持っているのに、“諦めてしまって“いるんです」
……わからない。何に、何が、何を“諦めてしまった“のだろう。
わかることは――私達の知らない「何か」を知っていること。そして、その「何か」が決定的に擦れ違っていること――それを赦せない。
物凄く悔しそうだった。きっと衛宮先生なら、その「何か」を達成出来る――そう「信じている」だけに。
だから、裏切られた気分なのだろう。
その「何か」さえ、衛宮先生が諦めていなければ――二人はお似合いなのかもしれない。
高音は他の誰より、輝いて見える時がある。
何かとてもとても大きな「目標」を持っていて、それに向かって真っ直ぐ進んでいるように見えるから。
それが顕著で、周りが見えないこともあったりする。それで稀に失敗したり、正直煩わしいと思うこともある。
でも――「羨ましい」。
カッコイイし、綺麗だと思う。
アイドルのように、偶像としているわけじゃない。見た目とかそんなんじゃない。
そう、云うなら「在り方」。
だから、自分達と違うモノに見えてしまう。
存在感が違うから浮いてしまう。
価値観が違うから浮いてしまう。
何だか置いて行かれたような疎外感すらある。たった一人だけが先に行っているのに、他はこちらに居るのに感じる真逆の疎外感。
だから彼女は独りが多い。
少なくともこの学校では。
そんな彼女が、衛宮先生にだけは知らない顔を見せた。
『ああ、なんだ――あながち間違ってないじゃないですか』
多分、衛宮先生は、その「目標」に一番近い所にいる。少なくとも高音にとって。
だからこそ、自分達と違う彼女
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