3話
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とか持ち前の胆力で記
憶を呼び起こす。
朝の挨拶。要らない皮肉を貰う。少々物申す事在りと口を開きかけ、予鈴に阻止される。尚もニヤニヤと嫌味な笑みと共に送り出される――
『駄目、思い出したら頭が……』
更に追い討ちの幻痛を貰い、清々しい朝の空気など微塵に飛ぶ。
有り得ない。これのどこが「恋愛」などに繋がるのか……
だが、ここで「呑まれて」は、解決には程遠くなってしまう。幸い、事情は次の「昼休み」の回想だけで終わる。落ち着け、冷静に、ちょっと胃も痛くなって来ましたが我慢する。
昼休み。
自身の状況は昼食無し。ついでに金銭も。
『………………うぅ。何たる失態でしょう』
厄日ここに窮まる。人生でここまで思い出して落ち込む出来事があったろうか?
……あるかも知れないが、「色々と」我慢してまで思い出すことなどそうそう有り得ない。
今の私と同じように、酷く欝な状況に、その身を崩す。……寧ろ、今の方が酷い気がした。机に付きそうに垂れる頭を右手で支え、要らぬ腹痛を左手で抑える。
そんな私に声を掛けるのは、朝一番の皮肉をくれた男性。最悪の状況に、この相手。
『もう駄目。耐えれません』
ついに自らを支えるのを放棄し、万歳のように両手を天に。そのまま机に上半身を投げ出す。
流石にその死体じみた高音の様子に、「恋愛」という要素は皆無
と判断。困惑しながら“死体“を突く相対した女生徒。
噂はあくまで噂なのか? そう結論に到りそうな感じだ。周りの生徒も、お手上げとばかりに首を振る。
暫く死体を演じていた高音が、ゆらゆら不安定に揺れながら起き上がる。
「ええと、私にはどうやって衛宮先生と……その、恋仲になって
る、と噂になったかわかりません」
どんよりとした空気を撒き散らし、据わった目をしたまま問い掛けてきた。
何か自分達と彼女に、決定的な差異が存在するのはわかった。少なくとも、彼女は衛宮先生を意識していない。
なら衛宮先生の一方的なもの?
そこで少し考えてみた。
普段の衛宮先生。
生徒にも自身にも厳しい。が、何か困った事があると率先して助けてくれる。
学校に限った話しでもなく、困ってる人の手助けをしている。学校の備品の修理もするし、良く気が付く。
普段はムスっと近寄り難い表情をしているが、優しい人柄で誠実な人間性だ。
父親か兄か、そんな感じ。実際「ウチの兄貴と交換してくれ」などと宣う級友が居る。兄にほしいと思っている生徒は非常に多い。……私も思う。
容姿は、日本人とは思えない浅黒い肌と白髪。顔立ちは日本人だから他の血筋も混じっているのだろう。
スーツからも分かるがっしりした体つき。その割に家庭的なアンバランスさ。
アンバランスだが、その頼り甲斐の
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