1話
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が、あの光の正体。そして“彼“が持つ力の一端。
「アレで何が、『所詮、贋作であり――自らの力ではない借り物だ』ですか」
自嘲気味に笑いながら、彼はそういった。高音には分からないが、彼にとってはそういうことらしい。
確かに、先程撃ち出された武具等は彼の魔力総量から見たら――下手をすれば越えている。いや、魔法使いの従者達にとっての『アーティファクト』なら、従者以上の魔力の武具でも可笑しくはない。
だが――彼の “ソレ“は“アーティファクト“ではあるが、そもそも“魔具“と云う範疇に抑えていいモノか……
そのアーティファクトを数多く呼び寄せ、弓で射る異端の弓兵。魔法も使いはするが、良く解らないモノだらけでいて、高音達の良く知る『魔法使い』の初級魔法は全く使えない。
その対魔力は相当低く、空を飛ぶ事も出来ない。
気を使う事も出来なければ、それに伴う剣戟を飛ばす事も出来ない。
動きは相当に速いが、瞬動術を用いた瞬間的なモノで言えば負ける。
こうして見ると、大した事はない強さに感じる。だから、余計に彼の持つ“力“は異質にして強大だった。
麻帆良に於いて、誰より彼を知っているだろう高音ですら把握出来ない程に武具を召喚し、惜し気も無くそれらを散らす。その武具は、神器と呼ばれても遜色無い程のモノすらある。
――ああ、だからか――
“借り物“なんだろう。
“武具が“ではなく、“武具を使う自分“が、だ。武具の力に頼った戦い方だから。
『いいえ、それも違いますね』
否、彼はそれに『頼って』はいない。
頼っただけの戦い方では、その多くで劣る能力では勝てない。単純に、低い対魔力だけで見ても、他の魔法使い達が牽制に使った魔法すら致命傷に成り兼ねない。
高音にとって、彼は十分に尊敬に値する人物だ。魔法使いとしての資質にて劣性、本人曰く剣の才能すら無い。師に当たる人物や、彼に関わった者にすら『全てが二流』と言われ続けたそうだ。
それでも――その『二流』を究めたのだ。数多の武具を召喚するのと同じように、二流と呼ばれようが数多の技術にてその全てで二流に到れば――それはどんなに素晴らしい『力』か。
そして、それらを効率的に運用する戦術論。それが彼――衛宮士郎と名乗る高音の良く知る男の『本当の力』なのだ。
「貴方はバックアップだった筈です! 何故、手を出したのですかっ!?」
「いや、何。確かに君達の想いを尊重しようと手はださなかったが……あれほど劣勢では、な」
高音、愛衣の元に士郎が来たのと同時に、高音が抗議しだす。
元々、彼女達の修行の一環として、今回の麻帆良学園都市防衛任務では手を出さない予定だった。
今回は特に、麻帆良全体を覆う防護結界が消失する『定期メンテナンス』の実行日だった。当然、多数の
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