1話
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の矢で朽ちる筈がない。過ぎ去った衝撃など既知のモノだ。
なら――今の違和感は何だ?
撃ち手の技量――?
『否』
矢に宿る魔力――?
『否』
幻想に生体の急所は無い。技量だけでは消されることなく。力だけでは存在を否定出来ない。
なら――
――その幻想を上回る、より強い幻想。魂魄にすら干渉する、その存在意義。
『在る可きモノ』とその貴き人々の願いを宿し、内包したその神秘を以て応えるモノ――
“アレ“はそういった“モノ“だ
悪を払うとされたモノ、龍を滅っすると謳われたモノ、神に仇為
すと忌み嫌われたモノ、王と共に在り斬れぬモノは無いと伝えられ
しモノ――
“アレ“はそういった“モノ“だ
伝承の彼方に置き去りにされ、信仰を失いながらも、朽ちること無くカタチを持った神秘がそこに在る。
同じ『幻想』に在り、その理に於ける天敵でありながら――
『――ああ、“懐かしい“なぁ……』
――悠久の刻の中で、再び出会った旧友に均しかった。
宴はこれからだ。
祝杯には血を。互いの杯に、互いの血を捧げよ。魂を賭けた死の
遊戯。血肉を貪る鬼が“宴(生存競争)“を――
姉と慕う年下の少女を抱き伏せると同時に、蹂躙戦が始まった。
『――――――――ッ!』
左腕で愛衣を抱き寄せ、右腕で自らの頭を庇うようにしながら、声にならない悲鳴を上げる。
どれくらい時間が経ったのか、知覚出来ない。鬼を、地を、風を刔る音も何時消えたのか解らない。
気が付けば音は止み、それでもまだ戦いは終わっているのか把握出来ない彼女は、慎重に辺りを見回す。
先程までの喧騒――いや狂騒が嘘の様に夜の静けさを取り戻している。
そこには何も無い。
自分達以外に動くモノも、在る筈のモノも。
その静けさ故に、ソレの破音は一際大きく、断末魔は胸の奥を掻き回す程に響く。
――あの蹂躙から生き延びた鬼がいた――
ひぃっ、と短い悲鳴を上げ、愛衣は両耳と目を塞ぐ。抱き伏せられてから未だその瞳に闇以外を映していないのだ、逆にこれ程の“異音“はその闇を以て助長される。
――ヒトリの鬼が其イノチを散らした――
在る可き所へ還ることすら赦されず、霧散させられる。瀑布のような魔弾の雨とは違い、闇を裂く一矢が、神秘の輝きを以て魔を伏滅する。カタチを持った幻想、神秘。現代に生きる『魔法使い』と呼ばれる者より古く、だがより濃密な力の在り方。
――雄叫びと共に残りの鬼達が、狂瀾の海を渡る船の如く、縦横にその身を揺らしながら宙を往く――
奇跡とは、“英雄“が貴き頂きに至るまでの軌跡。その軌跡に、常にヒトの傍らに在る“武具“。伝承に在る“宝具“と呼ばれる神秘の塊。
それ
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