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流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
23 空白の日々
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能力が現実空間と電脳空間を行き来する『デュアル・ウォーカー』だったんだから」
「....じゃあ、今は何で名前が」
「彼女は僕の他にもあらゆる記憶を無くしていた。だからキョウヤは人生の第二のスタートだって新しい名前をつけたんだ。その日は5月だったから『May(メイ)』と『ヒナリ』を合わせて『メリー』だって。センス無いだろ。でも彼女はその名前を気に入ったんだ。僕は嫌だったけど、キョウヤを騙した罪悪感から文句は言えなかった」
「...そう」
「でもそれから数日後、恐れていた事態が起こった」
「DNAの拒否反応」
「そう、それから2週間は彼女にとっては地獄の日々だっただろうね。ディーラーの検査に実験、それに全身の激痛、きっと死んだ方がマシに思えるほどだったと思う。でも僕のDNAフラグメントは見事に彼女の肉体に受け入れられ...今のように僕に近い体質に変化した」
「それが...メリーさんの過去」

彩斗は振り返って頷いた。
顔は必死に笑顔を作っている。
だが辛くなったのか、再びアイリスに背を向けた。
アイリスは必死に話を変えようとした。
とは言っても学校での話やミヤの話は更に彩斗を傷つけると思い必死に話題を探す。

「そういえば、キョウヤくんっていう人はあなたと同じようにムーの力を持ってたの?」
「あぁ、能力は僕と同じシンクロとビジライザーアイ、マテリアライズ。でも彼の方がマテリアライズは上で、シンクロは僕の方が上だった。とんでもない嘘つきで僕よりは運動できたかな?」
「今は?」
「....死んだよ」
「え?」

アイリスは完全に不意を突かれた。
彩斗は軽々しくそう言った。
もう忘れたい過去のように、ただその質問に対して反射的に応えるだけ。

「シンクロの実験中に自分の脳の処理能力を超えたんだ。自信満々で実験室にスキップで。僕は嫌な予感がして止めた。でもね...アイツは笑って『大丈夫だよ』って...本当はアイツも嫌な予感がしてたくせにさ。全く...嘘つきだよね」
「....」
「でも僕も嘘つきだ。キョウヤはきっと、メリーが本当に自分と同じ遺伝子の一部を持った妹だと信じたまま逝ったんだからね。結局、僕は最後まで彼を騙し続けた。本当は僕の方がずっと嘘つきでエゴの塊なのかもしれない」

彩斗はそう言って部屋の椅子に座った。
アイリスはすぐに感じた。
彩斗はこれまで普通の13歳の少年の経験する苦難を何倍も多く経験し、癒えない傷で苦しんでいる。
でも本人はそれがコンプレックスで誰にも打ち明けられずにきた。
それは自分の弱みをさらけ出すことに他ならない。
だが自分にはそれを話してくれた。
それが不思議とアイリスには嬉しかった。
自然と彩斗を後ろから抱きしめた。

「!?」
「ごめんなさい。辛いこと思い出
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