憎悪との対峙
23 空白の日々
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ないって分かってる」
「メリーさんって...いったい何者なの?ネットナビなのに...コピーロイドも無しで現実空間とサイバーワールドを行き来出来るなんて...」
「....」
彩斗はそれを聞くと少し黙った。
そしてゆっくりと体を起こし、残った水を飲み干した。
「...君には...言っておいてもいいかもしれないね。これはディーラーの中でも一握りの人間しか知らないことだ」
「....」
「メリー...あの娘は昔、普通の人間だった」
「...え?」
「あの娘には『ヒナリ』っていう名前があったんだ。僕の『サイト』って名前と同じで本名かどうかは分からない。4年前まであの娘は今と違って綺麗な桜色の混じった短めの髪に大きな栗色の目の特徴的な女の子だった」
「じゃあメリーさんも...」
「僕と同じでディーラーによって能力開発を受けた『ロキの子』の1人だ。どういう経緯でディーラーにいたのかは分からない。僕と同じで物心ついた頃からいた、そんなところだろうね」
「.....」
アイリスは黙り込んだ。
既に彩斗の雰囲気から出来れば話したくないことであることは察しがついた。
思わず「もういいわ、ごめんなさい」と言いそうだったが、不思議と好奇心からそれを言うことが出来なかった。
「彼女は小さい頃から僕に懐いていた。僕の初めての友達だったよ。そして僕自身、誰とも仲良くなれなかったからか、話し掛けてくれる彼女を受け入れ、僕の中で友達を超えて妹のように思うほどにまで大きな存在になっていた。彼女もまた友達がいなかったからね」
「メリーさんにも...あなたのように特殊な力が?だからみんなに疎まれて...」
「いや、逆さ。彼女は何の力も使えなかった。間違いなく僕と同じでムーの力を持っているはずなのに...でも僕と同じで人と仲良くなれない、そこに彼女は自分と同じだと思って寄ってきたのかもしれない。普通に見たら、彼女は底辺、僕は孤児の中で1番の能力を発揮している。疎まれることはあっても好かれることはないって思うかもしれない」
「でも...メリーさんはきっとあなたの寂しさに気づいていた...きっと底辺だって嫌われることを承知で一言声を掛けてみたんじゃない?」
「そうかもしれないね。そして彼女が懐いたのは僕1人じゃなかった。僕と同じ能力値の奴がいた。コイツも僕と同じで誰とも仲良くなることはなかった。名前は『キョウヤ』、イタズラ好きの気に食わない野郎だった」
「.....」
彩斗はそう言いながら、ゆっくりとベッドから降り、クローゼットをあさった。
不思議とアイリスはベッドから出た彩斗を再びベッドに寝かせようとはしなかった。
少し手を伸ばしたが、すぐに止めた。
「だけど彼女が間に入ったことで僕たち3人は友達になった。そしてキョ
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