憎悪との対峙
23 空白の日々
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アイリスとハートレスがいるのにメリーがいないのだ。
「...メリーは何処?何処にいるの?」
「...」
「メリーは....Valkyrieに捕まった」
「!?」
ハートレスの言葉に彩斗は水の入ったペットボトルをシーツの上に落した。
全く頭の中で現実で起こっている事象と、想定されうる事象が結びつかなかった。
目を見開いて、改めて現実か夢かを考え始める。
だが間違いなく目の前のハートレスもアイリスも現実だった。
「何で...メリーが...僕は1人でプライムタウンに向かったはず...」
「そうね。でもあなたが向かった約1時間後、私のトランサーにトラッシュが現れて、あなたの居場所の座標を私に伝えたわ」
「トラッシュが...」
「トラッシュは恐らく電波変換した状態でも分離できる特殊なウィザードらしいわね。それに人のトランサーのキャッシュデータを漁って再構成し直すほどの処理能力を持っている」
彩斗は枕元で充電されていたトランサーを開いた。
そこには相変わらず喋らずにまるで置物のように無機質なウィザードが待機していた。
「じゃあ、君は僕を回収しに来たってわけ?」
「ええ、アイリスとメリーを連れて」
「何で!?何で2人を連れてきた!?」
「駄々をこねて聞かなかったから。そしてトラッシュの示した座標で無様に雨の中、廃マンションの屋上でノビていたあなたを連れて車を駐車していたところまで戻ったの」
「.....」
「黒いスーツに顔に入った回路図のような模様で正直なところ吐き気がしたわよ」
「悪かったね」
「そこであなたを車に乗せた時、Valkyrieの追手に見つかった」
「....じゃあ、そこでメリーは囮になって僕たちを逃したっていうことか...」
「そういうこと」
彩斗は自分のせいであることを認識し、シーツに跡がつくほど強く握りしめ、歯ぎしりをした。
だがハートレスはそんな彩斗の心中を悟りながらも、説明を続けた。
「取り敢えず、この2日で何が起こったかを説明するわ」
「あぁ...頼む」
「まず2日前、28日の朝から先日からのインターネットによりニホン全体がパニックに陥った。株式取引も外交も全て停止、社会の会社や法人もネットワークが使えなければ通常営業が行えずに、この2日でニホン経済は世界でも地に落ちたわ」
「....まさか...まだ復旧してないの!?」
彩斗はインターネットがダウンしたという事実は知っていたが、既に復旧できたと思っていた。
ニホンの技術力は世界でもトップクラスだ。
その技術力があればシステムに攻撃を受けた程度なら1日、2日あれば復旧は十分可能のはずだった。
「ええ、普通のサーバーダウンじゃないわ。システムマシンがマシン語で操られ、CPUを無理や
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