憎悪との対峙
23 空白の日々
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るようなこともなければ、首に感じる枕の感触は現実だった。
自分はベッドの上で寝ていたのだ。
「どうして君が...現実空間に?」
「コピーロイドよ」
「そうか....コピーロイド」
「ハートレスという人にもらったの」
確かに肌触りは人間の肌のようでいて違った。
機械独特の冷たさがあり、近くでよく見ると作り物という感じが否めなかった。
「....僕は負けた...どれくらい寝てた?」
「まる2日と13時間。大丈夫?」
「多分...でも僕はたしか....」
頭の中が熱くなってくる。
徐々に脳がまともな活動を始めた。
それに従い、2日前の記憶が蘇ってくる。
「あなたは安食空夢との戦闘で精神波攻撃を受けて脳内活動が異常化、バイタルの正常値からの逸脱など廃人寸前になる兆候が現れたわ。でも....なんとか間に合った」
「間に合った?ウッ...」
「あなたの状態はダークチップを人体に投与した時の症状に似ていたの。それにあなたは敵の倉庫から盗んできたダークチップを1枚を持ってたでしょ?だからそのデータを元に...私のワクチンデータを使ってダークチップを無害にした」
「そうなんだ...ありがとう。でも体も?ネットなナビのワクチンデータやリカバリーデータで人体まで...」
「それは...私じゃない。あなたが自分で...信じられないけど...勝手に治ったわ」
アイリスは柔らかい笑顔を作った。
彩斗はゆっくりと体を起こす。
腹部や肩に僅かな痛みがあった。
しかし体には全く外傷と呼べるものは無かった。
ほぼ完治している。
しかしあれほどのダメージが2日で回復したというのは正直なところSFホラーの世界だった。
まるでスターダストになったことで自分が人間では無くなってしまったかのようだった。
そんな時、部屋のドアが開いた。
「ようやく起きたのね。全く手間取らせてくれるわね」
「ハートレス...ここはどこだ?」
入ってきたのはハートレスだった。
片手にはミネラルウォーターのペットボトルを持っている。
それを彩斗に投げ渡した。
「ここはあなたの家...ということになっている場所よ。あなたの『沢城アキ』としての戸籍上は本籍になっている。でも正確には私のセーフハウス」
「セーフハウス...?」
「ええ、人生何があるか分からないもの。大人の常識よ」
彩斗は乾ききった喉を潤すように水をがぶ飲みしては咽る。
そして周囲を見渡すとそこは11畳の中学生の部屋だった。
勉強机に21.5インチのiMac、漫画本と参考書で溢れる本棚、テレビにプレイステーションなど中学生の家での生活を彩るものばかり。
開いた青いカーテンから見えるのは近所の住宅街だった。
しかし何かが決定的に足りていない気がしていた。
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