空白期 第3話 「王さまは家庭的」
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ーチェがいるから照れているのかい? まったく、急にそんな反応をされたら可愛げがないなどと言えないじゃないか」
照れていると分かったのなら頭を撫でないでもらいたい。そんなことをする暇があるのならば、顔でも洗って眠気を取り寝癖まみれの髪を直してほしい。
ディアーチェは叔母の知り合いだからまだいいが、叔母のことを知らない人間に見られたら恥ずかしくて堪らないだろうな。
「……もうそろそろやめてほしいんだけど」
「ふむ……名残惜しいが仕方がない。君に触るななどと言われたら卒倒してしまうかもしれないからね」
膨大な仕事をこなしているのに一度も倒れたことがないレーネさんが言っても現実味がない。それに
「今はともかく、あと数年したらそういう時期が来る可能性はあるけど」
「それはそれできちんと成長しているから構わないよ。むしろ私にべったりしてもらっては困る。君にはきちんと青春を謳歌してほしいと思っているからね」
「青春ね……俺にはよく分からないよ」
小学3年生が理解しているのもどうかと思うが……でも最近の子はませてる子が多いと言う。俺のクラスでも誰々が好きといった話を聞かないわけでもない。
恋に恋しているだけなのかもしれないが、女子のほうが早熟らしいため全てを否定することは難しい。今の俺にはよく分からないことだが、いつの日か俺も特別な感情を抱くのだろうか。
そんなことを考えていると、テーブルに次々と料理が運ばれてきた。簡潔に言えば、家庭的な料理。見栄えはとても良い。これで不味いということはまずないだろう。
「何を話していたのですかな?」
「簡単に言えば恋の話になるかな」
「こ、恋ですか……」
ディアーチェの顔に赤みが帯びる。具体的な話を一切していないのにここまで恥ずかしいと思うということは、彼女は俺よりも恋愛を理解し興味を持っているのかもしれない。
「わ、我やショウにはまだ早いと思うのですが……」
「そうでもないと思うがね。最近の子供はませていると言うし……昔からディアーチェの料理は美味しかったが、また一段と上手くなったね」
「恐縮です」
「家庭的な君はきっと良いお嫁さんになれるだろうね……ショウのお嫁さんにならないかい?」
叔母の言葉にディアーチェは顔をより赤らめたかと思うと、咳き込み始めた。俺も想定外の言葉に危うく喉を詰めそうになり、同じように咳き込む。
「ななな何を言っているのですか!」
「ん? その問いに答えるならば、私の願望といったところかな。君となら世間でいう嫁姑問題が起きそうにないし、ショウのことを気遣ってくれるだろうからね」
「わ、我々は出会ったばかりですぞ! 話が飛躍し過ぎとは思わないのですか!」
これまでの経験のせいか、ディアーチェが異常に慌ててい
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