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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
7 「『ただいま』」
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ぐすっ…お詫びをしなければ…ぐすっ…いけないと思うんでふっ!!」
「……はい?」
「お詫びをするんでふ!!」

 ハンカチを握りしめキッとこちらを睨み付ける雪路は、はっきり言ってまったくこれっぽっちも怖くないが、どうやら彼女はご立腹らしい。となりでうんうんと頷く2人の弟子も同じ状況である。
 恥も外聞も無くハンカチで豪快に鼻をかみはじめた雪路からバトンタッチして、今度はリーゼロッテが話し始めた。

「今ちょうど色々な品物を売り歩く商人さんの一団が、うちの村に寄っているんです。あと数日はここにいるみたいなんです。あ、あとナギさんのお荷物ですけど、全部移して置いたので問題ないですよ」
「……は?」

 話題変換が急すぎてついていけないナギを放って、リーゼはどんどんヒートアップしていった。さっきまでの涙はどこへやら、「頑張ったんです誉めて誉めて」と言わんばかりに頬を紅葉色に染めて、嬉々として見上げてくる。

「ちゃんと大きな倉庫の中身もまるごと移して置いたんで。デュラクちゃんがお手伝いしてくれたから結構楽に終わりました。育ててた野菜もちょうど収穫時期ですし採っちゃいましたけど、ちゃんと倉庫にしまってあります。これからは後で案内する農場を存分に使ってください」
「……“ちゃん”? え? は?」
「ルイーズちゃんが『多分旦那はもうこっちに移り住む気満々だろうから今のうちに引っ越ししといちゃって問題ないんじゃニャいかニャ〜』と言っていたので! それでですね話は戻るんですけどそれで今その商人さんがいらっしゃってましてですね」

 目を白黒させる師に構うことなく続けようとしたリーゼロッテから、今度はエリザが言葉をつなぐ。

「とりあえずナギ、あんた明日一日はあたしに付き合いなさいよってこと。いいわよね、このあたしに毎日毎日心労をかけつづけた償い、受けてもらうわよ!」
「ちょっとエリザ、わたしもなんだからね! 分かってる!?」
「私もお兄様と回りたいところ沢山ありますエリザちゃん!」
「分かってるわよ、でも最初はあたしだから!」
「え〜なんでずるいわたしも〜!」
「待ってくださいどこ行くんですか。ひとり1回30分以内ですよ!」
「ニャーニャー、ニャアは旦那の肩にいれば邪魔じゃニャいニャ? ニャアも一緒に行っていいニャ? ニャ?」
「……あ〜〜小娘ども…とあとそこな猫1匹、オラ、聞け。明日は思う存分こいつ連れまわしていいから今日のところは退散しろや。こいつ病み上がりなんだ。オラ行くぞクソガキ。お前はさっさと食って寝れ。もう動いていいが慣れない飛行船で疲れてんだろ」
「……あ、ああ」

 未だ姦しく騒いでいる少女たちの横を通り過ぎ、いつの間にやら完了されていた見覚えの無い“我が家”へと案内される。広場に面した一軒家で、他の住
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