忘れ物なんて二度としない
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言いたくありませんとも。あなた自身の行いを省みてください。そんな驚いたような顔して、本当はそれすらもわかった上でここに来たくせに、白々しい。
「……非常に不本意ながら、親の再婚により僕達は近々兄弟になるんです。で、同居なうです」
「不本意とか言って満更でもないだろお前」
「そっちこそ」
ああだこうだ言い合っている間、誠凛の面々は呆然としていた。あれこいつら結構仲良い、お互い大嫌いじゃなかったっけ、と顔に出ている。まぁコートの外ではそんなに嫌な人じゃありませんよ、めんどくさいですけどと一応のフォローを入れておいた。勿論小突かれたが。
「あぁそうだテツヤ、お前この間欲しがってた本。たまたま見かけたから書庫に入れといたぞ」
「本当ですか!ありがとうございます!あとでお金渡しますね」
「いいって。俺も読みたかったんだよ」
一転、2人の間の雰囲気が和やかなものになる。こいつら猫か、とは誰の言葉だったろうか。その後は何事もなく、用が済んだ花宮さんが帰っていったところで、あの人今日休みだったんだろうか、と今更ながら気になった。これで一難去りましたね、と内心呟き、弁当を広げようとした時。
「黒子。少し話いいか」
一難去ってまた一難。
「…はい、構いませんが」
やはりというかなんというか、皆に囲まれた。目が据わっているため少し怖い。
色々問い詰められるだろうことはわかっていたので覚悟していたが、やはり実際なってみると違うものだ。
僕が怯えているうちに言うことが定まったのか、先輩方が口を開いた。
「…お前、あいつに何かされてないだろうな」
「……はい?」
「怪我とか!お前本当に大丈夫なのか!?」
「…えっと。これは『どうして隠してたんだてめぇ』みたいな、そういうことでは…」
「言いたくなかったんだろ。多分この中の誰が同じ状況でも言えないよ」
「で!大丈夫なのか!?」
……ほんっっっとうに。なんなんでしょう、この方々は。どうしてこんなに聖人しかいないんですか…!皆さんがいい人すぎて…僕は本当にもう…!
「…うおお!何で泣いてんだ黒子ぉ!やっぱ怪我してんのか!?痛いのか!?」
「無表情で涙だけ流すって器用だなお前!」
「……すみません……大丈夫です……僕はもう……ここで死んでもいいです……」
「そんなに酷い怪我なのか!?」
「はっはっはー落ち着けよ、とりあえず救急車だろー」
「先輩こそ落ち着いてください!待って電話らめぇぇぇぇぇぇ!!」
正に阿鼻叫喚。地獄絵図ってこんな感じなのだろうか。一人一人がそれぞれ大暴れで、部室は目も当てられない惨状だ。くそ、こんなことまでするだなんて(責任転嫁もいいとこだなんて聞こえない)、誠凛に一体何の恨みがあるというのか。花宮真、許すまじ
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