暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
22弾 アリアの思い
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命を狙われて、さらにあたしみたいな女が現れて。その後も、色々なことがあった。普通だったら、こんなことが連続して起きれば混乱して、イラついて、周りに当たったりして、大切な誰かを傷つける――――あたしが、そうだったみたいに。

 でも彼は違った。どんなことが起きても、最初は多少混乱したってすぐに冷静さを取り戻して、的確に対処していた。そんな彼があのバスジャックであたしが心配で様子を見に来てくれたことや、あたしが怪我をして取り乱したこと、不謹慎かもしれないけど、ちょっとだけ嬉しかった。

 それなのに。あたしは彼を傷つけた。

 あの病室での言い争いの時、いくら気が立っていたからといって、あんなことは言うべきじゃなかった。

 あの時、彼はすごく、すごく悲しそうな顔をしていたから。

 挙句の果てに、自分から言い出したパートナー契約を、自分から一方的に解消してしまった。悲しそうだった顔が、さらに辛く、寂しく、悲しそうな顔になった。あたしの身勝手な言動が、2度にわたって彼を傷つけた。

 その数日後。あたしは再び彼にあった。

 あたしはその日、美容院で前髪を作った後、ママとの面会に行った。

 そしてその道中で彼の方から近づいてきて声を……少し訂正。実際には声じゃなくて手で呼びかけられた。ケンカ別れのような形で別れた彼は、無愛想で、だけどその中に優しさを感じさせるいつもの顔だった。

 てっきり嫌われて、憎まれて、2度と会うこともないだろうと思っていたあたしはあの時、内心ひどく驚いていた。なんで彼はこんなに強いんだろう。なんで彼はこんなに優しいのだろう。そして、なんであたしはそんな彼から目を離せないんだろう。そう思いながら、あたしは面会室へ向かった。

 ママとの面会の後、あたしは泣いた。道の真ん中で。大声で。人の目も気にせずに。泣き続けた。彼はそんなあたしの傍にいてくれた。あたしと彼を見つめる奇異な視線や下世話な声もいくつもあった。それでも彼はあたしの傍にいてくれた。あたしと同じか、それ以上に悲しそうな表情で。

 それからあたしは、彼には会っていない。会うべきではないと思ったからだ。これ以上、あたしの問題に彼を巻き込むわけにはいかなかった。彼は、あの武偵校で、静かに、時に騒々しく。生活する権利がある。あたしの個人的な事情に彼をこれ以上関わらせるのは筋違いだ。

 なにより。

 あたしがあたしの目的を果たすには、様々なことをする必要がある。その中にはもしかしたら、本来あたしたちが取り締まるべき『悪』と呼ばれるものも含まれるかもしれない。そんなあたしを彼にだけは見せたくなかった。

 いつからだろう?彼に惹きつけられ、傍にいたいと思うようになったのは。

 なんでなんだろう?今、あたしの目から涙が零れ落
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