暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
22弾 アリアの思い
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たような顔と口調でアテンダントに怒鳴る。

「ば、バッカヤロウ……!」

「う、撃たないでください!ていうかあなた、本当に武偵なんですか?『止めろだなんて、どこからも連絡もらってないぞ!』って、機長に怒鳴られちゃいましたよぉ」

 アテンダントは半ベソ状態で言う。うわー、こんな奴が本当にいるとしたら、そいつはもう就職すべきじゃないレベルでメンタル弱いな。

 そして俺はここで、本来の要求を突き付ける。

「……わかった。止められないのなら仕方がない。その代わり――――」



 あたし――――神崎・H・アリアは、逃げるという行為がキライだ。

 逃げるなんていうのは弱い、臆病者の行動だ。あたしは強くならなければならない。だから、あたしは何からも逃げなかった。

 それなのに。

 それなのに、あたしは今、ロンドン行きの飛行機に乗って逃げようとしている。色々なものから。

 たとえば。

 あたしの大切なものを奪った、憎き敵から。

 これは奴を捕まえるための準備をするために、一回撤退するだけ。そう自分に言い聞かせながら。

(でも、こんなのは所詮、都合の言い訳に過ぎない)

 何度目を逸らそうとしても、頭のどこかがこれを『逃げ』だと認めてあたしを蔑む。

 あるいは。

 あたしに大きな期待を寄せてくれる、可愛い後輩から。

 あの娘はあたしに頼りすぎてる。だから一回距離を置くだけ。そんな嘘をあたしは自分に吐き続ける。

 本当は、あの娘に頼って依存していたのはあたしの方だというのに。

 あの娘は明るくて、いつも仲間に囲まれて。あの娘は自然と人を惹きつける、太陽みたいな娘だった。そんなあの娘が、あたしはいつだって羨ましかった。

 あたしは仲間なんていない独唱曲(アリア)だから。いつも格好つけて先輩風を吹かせていたけど、ずっと怖かった。

 いつかあの娘が、本当のあたしに気付いて、失望して、離れて行ってしまうのではないかと。そう思うと、急にあの娘の傍にいることが怖くなった。だから、離れた。

(結局、あの娘には何の連絡もせずに出てきちゃったわね……作戦コード『AA』なんて言っておいて……この有様。最悪ね、あたしって)

 自嘲する自嘲する自嘲する自嘲する。(みすか)らを(あざけ)って自分(じぶん)(あざわら)う。そうやって自分を貶めて、また逃げる。その繰り返し。

 そしてなにより。

 こんなあたしを、初めてあったのにもかかわらず助けようとして、そしてあたしのパートナーになってくれたかもしれない彼。

 彼は強かった。戦闘能力とか、知能とか、そういうものだけじゃなく、心が強かった。

 いきなり訳の分からない事件に巻き込まれて、変な奴に
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