参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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うと唾を飲み込み飲み込み口を開いたけれど、喋り進める内に喉も気持ちも落ち着くどころかどんどんカラカラに渇いていく。
一月半死線を彷徨っていたのって、川に流れたからじゃなくてもしやこいつの料理を詰め込まれていたからじゃ・・・。
「安心しろ。昨日おまえも食ったァろ?あの赤粥しか食わせてねェよ」
「赤粥?よ、よ、よかったぁぁぁああああ!」
神はあたしを見捨ててはおられなかった!おー神よ!
一瞬死を覚悟したあたしにはなによりの朗報だった。確かに、昨日食べた赤粥は同じ人物が作ったと思えないほど見た目も普通で、味も美味しかった。
「あんた、基本はどっちなの?昨日の赤粥?今日の汚物?」
「こるぁ!言うに事欠いて汚物はねェだろ!だが、料理をすると・・・今日みたいなステキなものがいつもできてるな」
ステキ…あ、す敵って事かしら?確かにあれは人類の敵だわ。そしてそれを生み出すこいつは宛ら悪の大魔王よ。
「うへぁ予想通り・・・でもなんで赤粥は普通なの?」
「俺の料理を食って三日三晩魘され続けた座主にあれだけは叩き込まれた」
「なるほど」
その座主はとてもとても優しさと思いやりに満ちた人だったんだろう。あたしだったら、料理の作り方じゃなくて直接庖丁を叩き込んでいるところだ。ホント同情する。
「で、あんたは粥を抹に持ってこようとしてたのね?ていうかそれなら普通の赤粥作りなさいよ!病人・・・じゃないけど、窶れてる抹にあんなモン食べさせたら一口で極楽行きよ」
「いやほら精がつくモノをと思って・・・色々入れてたらだな・・・」
「余計な、ことは、しなくて、いいの。おわかり?あんたも泡吹かれるより美味しいって言われた方が嬉しいでしょ?次自己流なんて加えたらぶっとばすわよ。いい?」
あたしは惟伎高に詰め寄った。惟伎高は渋々頷く。あたしは溜息をついた。
「よしわーかった。叩き込めばあんたも覚えるのね?あたしの方がまだ食べれるもの作れそうだし・・・明日の朝、抹も巻き込んで皆で一緒に料理しましょっか。まずは頓食から!」
「飯を握るだけだァろ?頓食ぐれェ・・・」
「作れないでしょ」
「いや、でき・・・」
「ない」
あたしは一刀両断した。賭けてもいい。こいつに握らせたら握り飯だって摩訶不思議な変身を遂げるに違いない。
その時、心地良い風が薄く開けられた障子の隙間をすり抜けた。花びらのお土産が、ひとつふたつ、
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