参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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赤のヘドロに魔法の力で刺さっている、緑の草・・・の茎?剣山のようにもりもりもりと盛りつけてある。うう・・・手みたい。そして中央にはなぜかちょっと齧られてる巨大魚の頭。しかも生!口の中からは春も鮮やかな桜の花がコンニチハしている。あたしは震えた。
「ぎゃーそれ以上近寄んないでっ!その呪物は一体何なの!?誰を呪い殺す気なの!?」
「呪い殺すゥ?よせよ。ただの粥だぜ?」
「ただの、粥!?粥って言った今!?あんた目もおかしいの!?こんな、ハエがタカってくれるだけ有り難いと思えるブツを、言うに事欠いて粥って!粥に謝れ!」
「いや、こんな見た目だが多分味は悪くないと思うんだよな。ちょっと食って見ろって。ほら」
「ぎゃーこっちに向けないで!しかも多分って何よ!どうせあんた味見なんてしてないんでしょ!?多分なんてそんな曖昧なのでねぇ、そんな、そんなもの・・・」
その時あたしは見てしまった。障子の向こう、濡れ縁にだらんと伸びている白い足、白い尻尾・・・ね、猫だ、猫が伸びている!恐らく、この惟伎高が差し出す粥(自称)を、中央の魚欲しさにたった一口、齧っただけで・・・。あたしはゾッとした。
あたしが戦慄のあまり言葉も紡げないで居るのに、隣で惟伎高はやれやれといった風に首を振った。
「まぁいい、これはおまえ用じゃない。抹の為に作ってきたモノだからな」
「殺す気ー!」
抹が気絶してて良かったとこれほど思った事は無い。あたしは惟伎高が持つ赤と緑のげるげるを素早く蹴り上げた。部屋の中に飛び散れば正に地獄絵図だが、狙いが良かったのかそれは器ごとぴゅーんと飛んで庭にぐしゃりと落ちた。やったわ、抹!あたしはヤツを倒した達成感に大きく肩で息をしながら、グッと拳を握りしめた。
わ、わかってしまった。惟伎高が佐々家の次期当主に決定されない理由!この壊滅的な料理オンチのせいだ!ぜーったいに、そうだ!こんなゲテモノ製造機が主になった日にゃぁ、佐々家では毎日毎日阿鼻叫喚の地獄の惨劇が繰り返されること間違いなし。すぐに一族郎党根絶やしにされてしまう・・・ぶるる。おー怖。もし万が一、そんな末法の世が来たら、高彬と由良だけでもあたしが守るからね!あたしは覚悟も新たに惟伎高を睨み付けた。
「おい何をするんだ!」
「むしろ感謝して欲しいくらいよ!ん・・・ちょ、ちょっと待って、き、聞きたいんですけど・・・あたし一月半目覚めなかったのよね?その間記憶無いけどあんたにご飯食べさせて貰ってたのよね?石山寺って今あんた一人だけなのよね?ごはん作るのも・・・て、ことは・・・?」
あたしは動揺する気持ちを落ち着けよ
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