それは、この国の行く末です!
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けど、エリーの悩みはアイドルとしてのキャラがどうとかじゃなくて……」
「分かってる……分かってるわ、にこ! それでも、私はクールな自分を取り戻したいのよ!」
「ああ、もうそういう流れなのね……」
絵里のよく分からないスイッチが入ったことを悟った真姫は、ツッコミを入れることを諦め、黙って成り行きを見守ることにした。
「絵里の分からず屋!」
部室に乾いた音が響く。
ついさっきまで入り口の辺りにいたにこが一瞬の内に絵里に詰め寄り、その頬に平手打ちを食らわせたのだ。
絵里はまだ自分が何をされたのかよく分かっていないらしく、反論も抗議もせず唖然とした表情で僅かに赤くなった頬を押さえるだけだった。
「どうして気付いてくれないの!? ファンの気持ちに……私達の気持ちに!」
「に、にこ……」
「確かに、今の絵里は昔みたいにクールじゃないかもしれない。格好よくないのかもしれない。でも、私達はそんな絵里が大好きなのよ! そんな絵里だから、応援したくなるのよ!」
「ごめん……私、間違ってた。クールな私でいなきゃ、皆から頼られる私でいなきゃって考えるばっかりで、皆の気持ちに気付けなかったわ。こんなんじゃ、生徒会長失格ね……」
自嘲気味に微笑みながらそう呟く絵里を、にこの小柄な体が包み込んだ。
「そんなことないわ。絵里が私達のこと一生懸命考えてくれてるの、私知ってるから。ただ、もう少しありのままの自分を好きになってもいいんじゃないかな」
「そうね。ありがとう、にこ」
絵里の憑き物が落ちたような笑顔を確認したにこは、体を離して自らの無邪気な笑顔でその表情に応える。
「いいってことよ。またキャラに悩んだ時は、私に相談しなさい。何たって、私はスーパーアイドルのにこにーなんだから!」
「ええ。頼りにしてるわ、にこにー」
絵里の言葉を受けると、にこはツインテールを優雅に靡かせて颯爽と部室を去って行った。
「じゃあ、そういうことだから、また明日ね、真姫」
「え、ええ。また明日……」
まるで青春ドラマのようなやり取りを見せられて呆然とする真姫を余所に、絵里は実に満足そうな表情で部室をあとにした。
「この悩み相談って、別に私じゃなくてもよかったんじゃないの……?」
また一人になってしまった部室で企画立案者への恨み節を零していた時、規則正しいリズムで扉が丁寧に三回ノックされる。
「はいはい、どうぞ。今度は誰よ……」
「失礼致します」
妙に仰々しい挨拶と共に入ってきたのは、二年生の園田海未だった。
海未はきびきびした動作で椅子の後ろ側まで足を進めたが、何故か座ろうとせず向かい合う真姫の顔をじっと見つめている
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