それは、この国の行く末です!
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ぁぁっ! 誰か助けてえええぇぇっ!」
しばらく凜は必死の抵抗を見せたものの、結局彼女の断末魔を残して、部室は再び真姫一人となってしまうのであった。
「何と言うか……まあ、自業自得ね」
凜と希による大捕り物から数分後、また誰かが扉をノックする音が聞こえる。
「……どうぞ」
「失礼するわね」
二人目の相談者は、ポニーテールに結わえられた金髪が眩しい我が音ノ木坂学院の生徒会会長、絢瀬絵里だった。
「あら、エリーも悩みごと?」
「ええ。後輩に聞いてもらうのはちょっと恥ずかしいけれど……」
「別に気にすることないわよ。μ'sには、先輩も後輩もないんでしょ?」
「そうね。ありがとう、真姫。何だか随分と楽になったわ。じゃあ、私はこれで……」
「いやいやいや! 解決するの早過ぎでしょ! もっと深刻な悩みがあるから、ここに来たんでしょう!?」
「あ……そ、それもそうだったわね」
絵里は先程の失態を紛らわすようにこほんと一つ咳払いをして話を切り出す。
「実は、私……自分のキャラが分からなくなったのよ」
「キャ、キャラ?」
「ほら。私って、最初は真面目でクールな生徒会長で、μ'sにおける『できる先輩』みたいなポジションだったじゃない?」
「まあ、そう言えなくもないわね。自分で言っちゃうのはどうかと思うけど……」
「それが最近は、ことある毎に『ハラショー』って言って、日本に来たばかりの外国人みたいなリアクション求められて、挙句の果てにはポンコツだなんて言われて……私、もうどうしたらいいか分からないの」
悲痛な面持ちで項垂れる絵里を前に、真姫は言葉を詰まらせた。
確かに、μ'sに入ってから絵里のキャラは随分変わったように思える。アイドルを始める前の彼女は、氷のように鋭くどこか近付きがたい雰囲気すら漂わせていたが、ここ最近は以前よりも表情が柔らかくなって親しみやすくなった。それは、自らのやりたいことを見つけて吹っ切れたおかげだとばかり考えていたが、本人には色々と考えるところがあるらしい。
「ねえ、真姫。教えて! 私はどうすれば以前のようなクールさを取り戻すことができるの?」
「ええっ!? そ、そんなこと言われても……」
懇願する絵里にどんな言葉を投げ掛けるか決めあぐねていると、部室の扉が再び勢いよく開け放たれた。
「甘いっ! 甘すぎるわ、絵里!」「「に、にこ!?」」
二人が視線を向けたその先には、真姫に悩みの相談役を押し付けたにこが世紀末の暴君がごとき迫力のある仁王立ちでこちらを睨んでいた。
「アイドルとは、応援してくれるファンを笑顔にさせる仕事! そのファンが望んでいるのなら、時には自分を殺してキャラを演じることも必要なのよ!」
「いやいや。もっともらしいこと言ってる
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