会いにゆくよ
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そう云いきるイングズに、おれはちょっとした寂しさ、みたいなのを感じる。
「おっ、そしたら今度はどんな褒美もらえるんだろうなぁ? 姫さんからの、ちゅ〜とかっ?」
「そ、そんなものは望んでいない」
「つーかさ……、たまにはカズスやウルに来いよ。正式な兵士になってたのも知らなかったのは────なんか、さみしいっ」
つい本音が出た。……それでもイングズは、あまり表情を変えてくれない。
「もう見習いの頃のようにはいかないさ、いつまでも子供のままではいられないしな」
「じゃあおれはガキのまんまでいいかな〜? 大人ってメンドそうだしぃ」
ちょっとおどけた感じでそう云って、おれは両手を頭の後ろに組んだ。……今はちょっと、反発してやりたい。
「 ────そう云った所で、嫌でも大人にさせられるさ」
そこでなぜかイングズは、おれの頭に片手をのばしてぽんぽんしてきやがった。
「お……、おまえにゃガキ扱いされたかないねっ!?」
「フ……どっちなんだ、結局」
あ、笑った……? こいつが笑うのは、めずらしい。……といっても、ほんの一瞬だけど。
「夜明けが、近いな……。で、結局何しに来たんだ、お前」
「いや、だからその……どうしてんのかな〜と思って、おまえが」
「そうか、なら話は済んだろう。もう帰れ」
冷てっ?! せっかく一人でここまで来たのに………
「それとも────少し寝ていくか」
「はぁ!? どういうつもっ……」
「私はまだ仕事があるが……、寝られる場所でそうしていってもいいぞ」
な、何だ………オドかすなよ。
「いいよ、もう帰る。母さんとアルクゥ、心配させちまうし」
「そうか、気をつけてな。───近い内に許可を取って、カズスやウルに顔を出しレフィアやアルクゥ、お前にも会いにゆくよ」
「えっ、マジで!? それ約束……ぜったいな!!」
おれは急に、自分でも驚くくらいの声になった。
「判ったから大きな声を上げるな。────約束だ」
また……笑ってくれた。こいつ、やっぱキライになれない、かも。
END
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