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リメイク版FF3・短編集
会いにゆくよ
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 そう云いきるイングズに、おれはちょっとした寂しさ、みたいなのを感じる。


「おっ、そしたら今度はどんな褒美もらえるんだろうなぁ? 姫さんからの、ちゅ〜とかっ?」


「そ、そんなものは望んでいない」


「つーかさ……、たまにはカズスやウルに来いよ。正式な兵士になってたのも知らなかったのは────なんか、さみしいっ」


 つい本音が出た。……それでもイングズは、あまり表情を変えてくれない。


「もう見習いの頃のようにはいかないさ、いつまでも子供のままではいられないしな」


「じゃあおれはガキのまんまでいいかな〜? 大人ってメンドそうだしぃ」

 ちょっとおどけた感じでそう云って、おれは両手を頭の後ろに組んだ。……今はちょっと、反発してやりたい。


「 ────そう云った所で、嫌でも大人にさせられるさ」


 そこでなぜかイングズは、おれの頭に片手をのばしてぽんぽんしてきやがった。

「お……、おまえにゃガキ扱いされたかないねっ!?」


「フ……どっちなんだ、結局」


 あ、笑った……? こいつが笑うのは、めずらしい。……といっても、ほんの一瞬だけど。


「夜明けが、近いな……。で、結局何しに来たんだ、お前」

「いや、だからその……どうしてんのかな〜と思って、おまえが」


「そうか、なら話は済んだろう。もう帰れ」


 冷てっ?! せっかく一人でここまで来たのに………


「それとも────少し寝ていくか」


「はぁ!? どういうつもっ……」

「私はまだ仕事があるが……、寝られる場所でそうしていってもいいぞ」


 な、何だ………オドかすなよ。


「いいよ、もう帰る。母さんとアルクゥ、心配させちまうし」


「そうか、気をつけてな。───近い内に許可を取って、カズスやウルに顔を出しレフィアやアルクゥ、お前にも会いにゆくよ」


「えっ、マジで!? それ約束……ぜったいな!!」


 おれは急に、自分でも驚くくらいの声になった。

「判ったから大きな声を上げるな。────約束だ」


 また……笑ってくれた。こいつ、やっぱキライになれない、かも。




END
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