会いにゆくよ
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────お、居た居た。
「おーい、イングズ〜……!」
真夜中にサスーン城に忍び込もうとしてるおれは、かがり火の焚かれた見張り塔で警備中のあいつを見つけて、囁き声で精一杯呼びかける。
「 ──── ルーネス? お前……、こんな時間帯に何しに来た」
頭上から、呆れたような落ち着いた声が返ってくる。
「なんかロープとかない〜?」
「あるにはあるが……、少し待っていろ。────ほら」
お、分かってんじゃんあいつ。おれに向けて長いロープの先を投げてよこした。
「よっと……、そっちしっかり持っててくれよっ」
「……足元、気をつけろよ」
おれは石壁を縄伝いにひょいひょい登ってくけど……、見張り塔上まで登りきる直前、足を滑らしちまった。
「うぉわっと……?!」
「馬鹿、何やってる……!」
そんなおれの片腕を、とっさにあいつが掴んで引き上げてくれた。
「ふぃ〜、危なかった〜。さんきゅー、イングズっ」
「……相変わらず、危なっかしい奴だ」
「てか、わりと久しぶりだよなー! 最近めっきり姫さんと町とか村に来ないからさ〜」
「だからといって、お前の方から真夜中に来るやつがあるか。……私はこれでも、正式な兵士になったばかりなんだ」
「へっ、マジで? いつの間に見習い卒業してたんだよ! しかも……、おまえ今"わたし"っつった? わっ、女みてぇ! おまえ自分のことは"自分"っつってたのに、"そっち"いっちまったのかっ? ───あ゙いだ!?」
ゲンコツ、食らったっ。
「からかうなッ。見習いからの卒業のひとつのようなもで………私、とてまだ、慣れないんだ」
「"おれ"じゃダメなのかよ、その方が男らしいじゃん!」
「いや……、それでは陛下や姫様に対して礼儀になっていない。────城に仕える者として、普段から礼節に沿って振る舞わなければならないんだ」
「うわっ、メンド! おれ兵士じゃなくてマジよかった……」
「お前には、到底務まらんさ」
「あっ、おまえそれジマンしてんだろー! ……しかも何だよ、ペンダントなんかしちゃって? やっぱ"そっち"いってんじゃね〜の……っでぇ?!」
また、ゲンコツっ。
「こ、これは………姫様からの、"賜り物"だ」
「たまわりっ……? 割ったのか、玉。───殴んなって!」
今度は何とか、よけてやった。
────胸元のシズク型のペンダントに、イングズは片手を添えて大事そうにしてる。
「正式な兵士になった記念に……、頂いたんだ。────次は、"騎士"を目指さなければ。サラ姫様の為に」
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