暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
ようこそ☆ロキのロキによるお客様のための遊戯城へ〜W〜
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ると、この子は呆然とそう訊いてきた。もちろん、するわけない。フェンリルを逃がさないための嘘だ。だから「嘘だ」と告げる。ボケーとしたフェンリルの大きな瞳からポロポロと大粒の涙が溢れて零れてきた。

「あ、ルシル君がフェンリルさんを泣かした」

ボソッとなのはが私を非難する声色で呟いた。それだけでなく、ヴィータも「ひでぇ、女を騙して泣かせるなんて」と冷たい視線を。リエイスですら「今のはないな。謝れ、ルシリオン」と一睨み。あれ? 何故非難されているんだ? お題を無事、そして早急にクリア出来たのに。

「ルシルパパ。リルちゃんが可哀想だよ」

「ルシリオンお父様。いくら何でも今の嘘はいけない気が・・・」

「クリアするためだからと言って、リルちゃんを泣かせちゃうような嘘はちょっと・・・」

「うん。謝った方がいいとあたしは思う」

気が付けば私は女子たちの敵になっていた。何、この理不尽さ。「ひっく、うっく、うぅ、ひぅ」と嗚咽を漏らし、こぼれる涙を何度も拭おうと袖で目を擦るフェンリルを見る。こっちが泣きたい気分だよ。ギシギシ軋む左手を何とか上げ、フェンリルの頬に添えて指で涙を拭いさる。

「ぅっく、マスター・・・?」

「もう泣くな、フェンリル。すまなかった」

「じゃあ散歩は?」

「なしだ」と返すと、フェンリルはヒクッと引きつり、また泣きだした。そしてまた注がれる非難の冷たい視線。どうしろっていうんだ? なのはが「もう。散歩くらいしてあげなよ、ルシル君」と私を見捨てる発言をしてきた。

「マスター。私、散歩、行きたい」

フェンリルの散歩。諸君、フェンリルと――そんな美少女と二人っきりでの散歩くらいどうってことないだろ、逆に嬉しいだろ、とか思っているだろ? だが、それは真実を知らないからこそ言える意見。そう、フェンリルの散歩=トライアスロンなんだよっ! 数十分で終わるような優しいものじゃないんだよ。あと、どれだけ可愛くても実際は途轍もなく大きな狼だしな。

「なぁ、セインテストが泣いてんぞ」

「ええっ!? ど、どうして!?」

昔を思い出してつい涙が。フェンリルが「泣いちゃヤダ」と袖で私の涙を拭った。「じゃあ散歩も無しでいいよな」と言うと、「好きなだけ泣いていいよ?」と頬を思いっきり引っ張られる。数分後、なんとかフェンリルを落ち着かせ、妥協案を提示する。

「あーもう好きなだけくっついていろ。散歩をするよりかは果てしなくマシだ」

抱きつかれている方が何倍もマシ。そう、ただ抱きつかれているだけなのだから。それで満足したのかフェンリルは小さく可愛らしい声で「うん」と頷いた。大人しければ何も問題ない子なんだがな、本当に。本っっっ当に! 少しばかりの抱擁の後、ようやく転送が始まる。フェイト達の待つ
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