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万華鏡
第七十二話 三学期その九
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「じゃあ節分の日は学校の神社でライブするから」
「頑張ってきてね」
「鬼は外福は内ライブっていうのかしら」
「あまりセンスのいい名前じゃないわね」
「やっぱりそう思う?」
「適当につけた 名前に思えるけれど」
 母は少し真顔になって言った。
「違うかしら」
「多分そうだと思うわ」
 娘もこのことは否定出来なかった。
「うちの部長さんがその場でつけた名前なの」
「あまりネーミングセンスのない娘ね」
「そうかも知れないわね」
「前にもその娘色々名付けたのよね」
「飼っている犬が何でもゴルゴっていうらしいの」
「あのスナイパーね」
「多分ね」
 ゴルゴといえばこれだ、あのサイボーグではないかとさえ言われている極端に無表情で感情の見られない主人公である。
「そこからつけたみたいよ」
「普通犬にそんな名前つけないわよ」
 ゴルゴなどと、いうのだ。
「まあフィンランドの犬の名前も結構、だけれど」
「どんな名前なの?フィンランドの犬の名前って」
「向こうの言葉で花卵とかいうの」
「そっちもないわね」
「そうでしょ、結構あれでしょ」
「日本人のセンスには合わないわね」
 フィンランド人の犬のネーミングセンスは、というのだ。
「あまりね」
「そうよね、お母さんもなのよ」
「私もね」
 こう言うのだった。
「どうしてもね」
「ネーミングセンスは人それぞれだけれど」
「それでもセンスはあるのね」
「その娘のネーミングセンスはね」
 それはとだ、また言う母だった。
「どうかと思うわ」
「じゃあこのライブの名前も」
「そこはあんた達で話してね。ただ部長さんが決めたのよね」
「そう、あの人がね」
「だったらね」
 それならというのだ、母は。
「ちょっと難しいわね」
「部長さんだから」
「そう、部活の部長さんが決めたことならね」
「ちょっと今言っても」
「難しいわね」
 覆ることは容易ではないというのだ。
「まあ大事なのは中身よ」
「ライブの内容ね」
「そう、それだから」
「そういうことね」
「じゃあいいわね」
「ええ、今回もね」
 これまでと同じく、とだ。琴乃も答えて母に対して言った。
「頑張るわ」
「そういうことよ。じゃあ今日はハヤシライスだから」
 それがこの日の晩御飯だというのだ。
「たっぷり食べなさいね」
「まずは食べることね」
「人間食べないとね」
 まさにそれからだというのだ。
「何も出来ないでしょ」
「そうね、それじゃあね」
「食べなさいよ、ハヤシライスよ」
「カレーじゃないのね、今日は」
「そうよ、ちょっと趣向を変えてみたのよ」
 それでこの日はハヤシライスだというのだ。
「サラダもあるわよ」
「黄金の組み合わせね」
「ハヤシライ
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