第七十二話 三学期その八
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「違うけれど同じ様なものだから」
「同じかしら」
「同じでしょ。神様も仏様も」
「一緒なのね」
「人を守ってくれるから」
「だからなの」
「そう、お母さんはそう思うけれどね」
母は娘に自分の神仏への考えを述べた。
「お母さん神社もお寺も行くし」
「どっちがよりってことはないの」
「そう言われても」
やはりと言うのだった。
「これといってないわ」
「そうなの、どっちもなの」
「そう、お母さんはね」
「ううん、そういえば景子ちゃんも」
琴乃は母の話を聞いて友人のことを考えた、そのうえでこう言ったのだった。
「神社の娘さんだけれど」
「あの黒髪の綺麗な子よね」
「そう、あの娘だけれど」
「別にお寺に行かないって訳じゃないでしょ」
「行かないどころか」
それどころかだった、景子の場合は。
「家族ぐるみで町のお寺とお付き合いしてるわ」
「そうよね、神社でもね」
「天理教の教会長さんともだし」
「あの大きな瓦の場所ね」
天理教の教会はおおむね和風だ、奈良県の天理市に行くと瓦の屋根のかなり独特な建物があちらこちらに見える。
「あそこね」
「そう、あそこの教会ともお付き合いがあって神父さんや牧師さんともだから」
「ほら、あちこちの宗教でよね」
「うん、家族ぐるみのお付き合いしてるわ」
「そういうことよ、神様も仏様もね」
それこそだというのだ、宗教の違いこそあれど。
「一緒なのよ、だからね」
「節分も鬼も」
「別にこだわらなくていいでしょ」
神道だの仏教だので、というのだ。
「特にね」
「そう考えてもいいのね」
「別にね。ただ罰当たりなことはしないこと」
このことは強く言った母だった。
「仏像盗むとかね」
「そんなの絶対にしたら駄目でしょ」
「本当に仏罰が当たるわよ」
「返せって言われても返さないのは?」
「仏像を?」
「それはもっと駄目よね」
「仏罰当たるわよ」
本気で言った、母も娘にこのことは。
「保障出来ないわよ」
「仏罰ね」
「そう、それが当たるわよ」
そうなるというのだ。
「だからそんなことしたら駄目よ」
「仏罰とか神罰ってあるのね」
「あるわよ」
言うまでもなく、という口調での返答だった。
「それはね」
「そうなのね」
「そう、だからそんなことはしないことよ」
罰当たりなことは、というのだ。
「人間としてそういうことはしたら駄目だから」
「どの宗教に対してもよね」
「神道でもそうだし天理教でもキリスト教でもね」
神の方もだった、あらゆる宗教も。
「やっていいことと悪いことがあるわよ」
「そういうことね」
「そう、わかったわね」
「やっぱりそうよね。やったら駄目なことはね」
「そこは守ってね」
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