暁 〜小説投稿サイト〜
レインボークラウン
第百二十二話

[8]前話 [2]次話
               第百二十二話  ふりだしに戻っても
 亜美の家の台所が使えなくなった、それでだ。
 華奈子はすぐにだ、六人にこう提案した。
「もうこうなったらね」
「こうなったら?」
「こうなったらっていうと?」
「お外でしない?」
 活動的な華奈子らしい提案だった、真顔で皆に言ったのである。
「そうする?」
「つまりあれね」
 美奈子がその華奈子の提案に対して言った。
「飯盒で御飯炊いて」
「そうそう」
「お鍋で火でカレールーを作るのね」
「そうしない?」
「林間学校みたいなアウトドアね」
「それでどうかしら」
「悪くないけれど」
 それでもだとだ、美奈子は華奈子のその提案に対してその提案をした華奈子自身に対して言ったのだった。
「それはそれでね」
「手間がかかるのね」
「ええ、キャンプファイアーみたいにするのも」
「そういえば場所とかね」
「山に行って小川のところとかで作るつもりよね」
「そう考えてるけれど」
「それだと場所をどうするかが大変よ」
 美奈子が言うのはこのことだった。
「第一ね」
「誰かのお家でするよりもなのね」
「そう、飯盒だって私達の誰かが持ってるかどうかは」
「ううん、飯盒ね」
「自衛隊なら絶対に持ってるけれど」
 陸上自衛隊である、この組織は野外での作戦が基本であるので飯盒がなくては話にならないからである。
「それでも普通の小学生が持ってるかは」
「まずないわね」
「お家にあるかどうかも」
「言うまでもないわね」
 少し考えてみればだった。
「そんなの普通ないわね」
「自衛隊さんにお借りする?」
「それは幾ら何でもね」
 華奈子は美奈子の今の提案には難しい顔で返した。
「自衛隊さんに迷惑よ」
「そうよね。それじゃあ」
「お外ですることは」
「諦めた方がいいわ」
「そういうことね」
 美奈子も微笑んで華奈子に答えた。
「だからね」
「誰のお家でするかね」 
 話はふりだしに戻ったままだった、そのうえで話が続くのだった。


第百二十二話   完


                            2014・4・7
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ