XY
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るのはどうかと思う。
「現実には非常事態のような気も致しますが、ぜひとも体験してみたく存じます」
言うや懐から以前と同じくパンパンに膨れ上がった財布を取り出すエリザベス。
「いや、ここは俺が払うよ」
「お気になさらず。これでも私……」
「男が払うのが礼儀ってもんなんだよ。なあ店主さん?」
「ん? せやなぁ。それが男の甲斐性っちゅーもんやな! 分かっとるやないのにーちゃん!」
ノリが良い店主が追随してくれるが……
「私、実際にほっぺらを落としている方をお見かけしたことがございません。
恐らく、市井の物には易々と手出し出来ない価格のはず……それを裏瀬様に支払わせるのは……」
「おい、値段よく見ろ」
「はて……あ、1パック400円……?」
「そう言うことだ。すまんが2パックほど頼むよ。マヨネーズ増し増しでな」
気恥ずかしそうなエリザベスは放って置いて注文を告げ、千円札を手渡す。
「ネギもつけたるわ! ちょぅ待ってやー」
手早くタコ焼きを焼き始める店主。
エリザベスはその作業に興味深々のようでジーっと見つめている。
子供染みている――――とは言わないが、やはり少々ズレているのだろう。
「ハイ、おおきに! また来てや〜!」
店主からタコ焼きを受けとり店の前にあったベンチで実食。
熱々のタコ焼きで俺は少し冷ましてからとすぐには手をつけなかったがエリザベスは別だった。
早速口の中に放り込んでいる……熱くないのだろうか?
「このプリプリした表皮に覆われた独特の触感は……間違いなく! アレ!」
「…………」
「よもや食材として出会う時が来るとは……驚きでございます」
食材として使用するとは思えない何かが使われていると言うことなのか。
だが、困ったことに味は悪くない。
しかし……そのアレとやらが未知だったらどうしようか?
こんな馬鹿らしいことで本懐達成など渇いた笑いすら出ないだろう。
「……よう、ほっぺたは落ちたか?」
なのでここは聞かない方が賢明だ。
「いえ、特には何も……ですが私、食べてみたいものは他にもまだまだございます」
「そうか。だったらまだほっぺを失うわけにはいかんな」
「はい。それらを食し終えるまでは万全の状態でありたい所存です」
飲食店は数多くあるが……どんなものを食べたいのだろうか?
5個ほどで残りをエリザベスに押し付けた俺は食後の一服をしながら空を見る。
ますます強くなった日差し。どこか涼しいところに入りたいものだ。
「ふぅ……大変美味しゅうございました」
「そいつは結構」
「この近辺には、まだまだ飲食の場がある様子。"ハシゴ"というのをしても宜しいでしょうか?」
「ん? そり
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