暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第43話 ハルケギニアよ!!私は帰って来た!!
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ボロと涙が流れだします。そして、手に持った木のカップを落とすと、凄い勢いで私に抱きついてきました。よほど辛い思いをしていたのでしょう。私はティアを抱きしめ、頭を撫でてあげました。体の中で木の精霊が「(勿体ないではないか)」等と騒いでいますが今は無視です。ついでに周りのギャラリーも無視です。

 ティアが落ち着くのを待って、中身がぶちまけられた木のカップを店に返却すると、私達はティアがとっておいた宿に行きました。

 部屋に入り鏡で自分の姿を確認すると、凄い事になっていました。私の姿は、スキンヘッドの大柄なオッサン(筋肉ムキムキ)になっていたのです。ティア(人間ver)と並んで歩いたら、美女と野獣と言う言葉が異様にしっくりきます。おまけとして、体には大きな入れ墨が施してありました。精霊達が刺青の由来を話してくれましたが、私は何故この文様を刺青にするのか理解できませんでした。

 簡潔にイメージを言うと、剛腕な錬金術師のこの世すべて悪刺青バージョンですか。……カオスな外見です。精霊達から“そんな邪悪な刺青と、この聖なる刺青を一緒にするな”と言う抗議の意思が伝わって来ます。まあ、私には違いが分からないのでスルーします。

「しかし、背や手足の長さが違うだけで、ここまで動き辛くなるとは思いませんでした」

 宿に帰る途中で、あまりの動き辛さに精霊に肉体の操作権を譲渡して、代わりに歩いてもらいました。屋台を見かけるたびに、フラフラと立ち寄ろうとするので、そのたびにティアが苦労して止めて居ました。終いにはティアに泣きつかれ、肉体の操作権を戻す羽目になりました。おかげで何度転びそうになったか……。

「主。もう元の姿に戻っても良いのではないか?」

 鏡で今の自分の姿を観察していた私に、ティアが提案してきました。もう仕入のアリバイを作るには、十分すぎるほどの時間が経っています。ここがゲルマニアなのは気になりますが、もう元の姿に戻っても問題ないでしょう。

(精霊達よ《変化》の術を解除してもらえますか?)

 私の提案に精霊達の反応は様々でした。特に土の精霊が、私の提案に難色を示したのは意外でした。

「(美しいからこのままで良いのではないか?)」と、土の精霊。

「(刺青以外は、どう考えても駄目だろう)」と、風の精霊が言うと、他の精霊が同意します。

「(美しいとはこういうことを言うんだ)」

 風の精霊がそう言うと、頭の中に男のイメージが流れ込んで来ました。ひょろひょろの優男でしたが、やたらひらひらした服を着ていて、髪が地面に引きずるほど長かったです。……ハッキリ言って気持ち悪かったです。それに続き「(違う!! こうだ)」と、火の精霊がイメージを公開しました。それは細くも筋肉質で、真っ赤な髪が真上に向けて立っていました
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