第七話 三人目その十四
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「貴様等の相手は後だ」
「おい、何だよ」
「私達とは戦わないというのかしら」
「後だ」
今ではないというのだ。
「後で相手をしてやる」
「何だよ、あたし達と戦うんじゃないのかよ」
「違うというのだ」
「そうだ、後だ」
あくまでだというのだ。
「後で思う存分相手をしてやる」
「他に用事があるのかよ」
「そうだ、だからだ」
それでだというのだ。
「今は俺は他の力の持ち主の相手をするのだ」
「他の力の?」
「持ち主とは」
二人は怪人、蜂怪人の話を聞いてすぐに言った。
「あたし達だけじゃなかったのかよ」
「力の持ち主は」
「誰か二人だけだと言ったのか」
怪人はこう二人に返した。
「それは」
「いや、そう言われるとな」
「それは」
今二人も気付いた、確かにだった。
力の持ち主は二人だけとは誰も言っていない、まさに。
「最初からは」
「聞いていないわ」
「それではだ」
だいからだとだ、また言う怪人だった。
「今は俺の最初の獲物と闘う」
「それで誰だよ、それって」
「私達以外の力の持ち主は」
「あそこにいる」
怪人は自分の前、裏道の先を指差して言った。
「俺の獲物はな」
「あら、私って獲物だったのね」
ここでだ、その裏道の先怪人が指差したそこから声がした。明るく声域の高いはっきりとした女の子の声だった。その声の主はというと。
黄色いブレザーが眩しい、ブラウスは白でベストも黄色だった。スカートは黄色とレモンイエロー、そこに白と黒のタートンチェックのミニスカートだ。ネクタイは濃い黄色だ。靴下は膝に近いまでの丈のやや長いものだ。
黄色い髪をポニーテールにしている、明るく眩しい顔立ちであり目は大きく丸い。瞳はかなり大きい。それにだった。
唇ははっきりとした形で小さいが色は見事なピンクだ、鼻の形はそれ程高くないが悪い形ではない。背は一五八位で胸はそこそこ大きい。全体的に薊とはまた違う感じの健康的なスタイルだ。
その彼女を見てだ、菖蒲が言った。
「二年C組の禄存菊さんね」
「あれっ、そういうあんたは」
「巨門菖蒲よ」
菖蒲はその少女禄存菊に答えた。
「まさかこうしたところで会うとはね」
「というかまさかあんた達も」
「ええ、私は水や氷を出せるわ」
「あたしは火だよ」
薊は自分の右の親指で自分自身を指差して自分から言った。お互いに怪人をはさんだままそのうえでの言葉だった。
「火を出せるんだよ」
「確か転校生で寮生の」
「ああ、天枢薊だよ」
「そうよね、拳法部の」
「モトクロス部にも入ってるぜ」
「相当な運動神経って聞いたけれど」
「かもな。そういうあんたは」
薊は菊に対して問うた。
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