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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第42話 塩爆弾爆発!!でも私は不在です
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た。ここにきて自分が邪魔にしかならない事に気付いて、内心“失敗した”と思った。

「若いの。あんたは塩の取引で儲けに来たんじゃないのかい?」

 手を止めることなく相手が聞いて来たので、俺は正直に答える事にした。

「その心算で塩を買ったんですがね……」

「ほう。何かあったのかい?」

 そこで初めて手が止まり、中年の男性はこちらを見た。その鋭い目は、(まさ)しく歴戦の商人の物だった。

「自分の浅ましさに、ちょっと自己嫌悪をね……」

「ふん。そうかい。なら気持ち良く行ったらどうだい」

 俺よりもかなり年上のはずの男性の顔が、まるで少年の様に思えた。そして彼は、何事もなかった様に荷降ろしを再開する。

「あっ 申し遅れました私はジルダと言います」

「俺はギスランだ。マギ商会に所属している」

 ギスランがマギ商会所属と聞いて驚いた。積み荷は良く見たら塩だ。しかし現状の塩の値段を下げるには、あまりにも少ない量だった。たわいない会話をしていると、荷降ろしは直ぐに終わった。すると「カロン。俺は戻るぞ!!」と言って、馬車を引き始めた。

「ジルダ。さっきも言ったが、たまには気持ち良く行ってみたらどうだい」

 ギスランは最後にそう言い残して、行ってしまった。

「そうだな。たまには気持ち良く行ってみるか」

 俺は会場に戻ると、塩の値段は60倍まで跳ね上がっていた。俺は迷うことなく、自分が持っている塩を盛大に売り払った。少し気持ち良かったが、十倍以上に膨れ上がった財布が少し重かった。俺は無意識のうちに、ギスランに会った裏口に来ていた。驚いた事に、そこではギスランがまた積み荷を降ろしていた。

「おう。ジルダ。また来たのか」

「あれ? 先程荷を降ろして帰ったのでは?」

 ギスランはまた少しだけ手を止めると、少年の様に……いや、子供が悪戯を成功させた時の様に笑った。

「それよりお前、買った塩は如何したんだ?」

「気持ち良く全部うっぱらいましたよ」

 そう言うとギスランは、笑顔で「ジルダ 正解だ」と言った。何が正解なのか聞こうとしたら、先にギスランが答えた。

「お前ならもうわかってんじゃないのか? 会場に高みの見物に行ったらどうだ」

 そう言うとギスランは、再び馬車を引いて出て行った。俺は頭をよぎった物が信じられずに、確かめたくて会場に戻った。塩の値段は俺が売った時と変わらず60倍くらいだったが、会場の雰囲気が少し変わっていた。何とも言えない緊張感に包まれていたのだ。これは本来先物取引の場にあるべき空気だ。

「俺はまだ資金が有る。買うぞ!!」

 まだ数人の商人が塩を買っていたが、塩の値段は一向に上がらなかった。最後の買いが処理されて、永遠ともと
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