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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第42話 塩爆弾爆発!!でも私は不在です
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リュアス侯爵の面目を潰すのが狙いなのだ。ならば、この機に儲けない手はないだろう。

 次の日の早朝に、俺は塩取引会場に来ていた。混乱と被害を増大させる為だろう。本来なら許可証が無ければ立ち入れないはずなのに、警備の人間にわずかな賄賂を贈っただけで簡単に入れた。これは普段なら考えられない事だ。会場にはトリステインの商人を、全員集めたのではないかと言うくらいに人でごった返していた。俺の同類もいるはずだが、塩を確保しておきたい商店の人間が集まったのが原因だろう。なんにしても、これなら安全に取引出来そうだ。俺は開始から塩を買いまくり、ころ合いを見て塩を売りこの場から逃げ出す事にした。塩さえ手元に残しておかなければ、証拠など残らないのだから。

 取引を開始した時点で、塩の価格は既に例年の2.4倍に達していた。それでも俺の資金が有るだけ塩を購入した。開始わずか1時間で、俺の資金は底をついてしまった。所詮は行商人の資金だから、それは仕方が無いだろう。しかし塩の値段は、際限なく上がり続けている。午前の取引が終了する時に、例年の50倍を超えていたのは何の冗談かと思った。原因は身なりのやたら良い商人が、馬鹿みたいに買っているからだ。

「気分が悪いな」

 今回の件で生贄にされたドリュアス侯爵は、平民だけでなく我々商人にも評判の良い貴族だった。特に侯爵が子爵時代に設立したマギ商会は、俺達商人にとってあこがれの存在だったと言える。損して得取れを地で行く経営戦略は、今の商業界では革新的な物だったからだ。

 先ず物を高く買う事により、民に金を与える。金を得た民は、良い道具や物を買い豊かになり商会が儲かる。良い道具を得た民は、より良い物をたくさん作り商会に売る。良い商品が集まれば、商会はより儲かる。……今までのハルケギニアでは考えられない好循環だ。良い領主、誠実な商会、忠誠心あふれる民、そして思想。すべて揃わなければ、とても実現しない奇跡と言って良いだろう。……それが壊れようとしている事に、俺は柄にもなく一抹の寂しさを感じていた。

「午後の取引開始まで時間は……。まあ良いか。気分転換に少し散歩するか」

 俺はやるせない気分を紛らわすために、少し歩こうと思った。もう午後の取引が始まるが、どの道塩の値段は上がる一辺倒なのだ。会場にかじりついている意味は無い。俺は散歩をする為に、裏へと向かった。表を歩いて警備に捕まり、また賄賂を要求されるのもつまらないからだ。

 歩いていると数台の馬車が、裏口から入って来るところだった。興味をひかれた俺は、気分がまぎれると思い馬車の持ち主らしき中年の男性に話しかけた。

「こんにちは」

「おう。こんにちは」

 中年……いや、もう初老と言って良い男性は挨拶を交わしながも、荷降ろしの作業を止める事が無かっ
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