第七十一話 おとそその七
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「皆寝ましょう」
「仮眠取ってるけれどあまり寝てないから」
「だからよね」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「じっくり寝ましょう」
「そうね、それじゃあね」
「今日は」
五人も景子の言葉に応えてだ、おせちとおとそを楽しみ終えるとだった、歯を磨いてそれからであった。風呂は明日の朝入ることにして。
その日は景子の部屋に布団を敷いてそれぞれ寝ることにした、景子は自分の布団に入ったが他の四人はというと。
琴乃は彩夏と、里香は美優と一緒の布団になった。美優は自分の横にいる里香の顔を間近でじっと見ながらこう言った。
「まずいな、こりゃ」
「そうよね」
里香も苦笑いになって美優に応えた。
「妖しいわよね」
「一緒にお布団の中にいるってな」
「あの、私別にね」
「あたしもだよ」
二人で苦笑いで布団の中でお互いに横になって身近な距離で話す。
「女の子は好きじゃないから」
「だよな、お互いに」
「そういう趣味はね」
「ないからな」
「けれど何か」
「まずい感じだよな」
こう話すのだった、二人で。
そしてだ、こうも言った里香だった。
「最近妙に意識するわね」
「一緒のお布団とかベッドに入るとな」
「そういう趣味なくても」
「妙にな」
「私もよ、それ」
「私も」
ここで琴乃と彩夏も言ってきた。
「何か妙にね」
「意識するわよね」
「彩夏ちゃん可愛いから」
「琴乃綺麗だから」
「そんな趣味なくても」
「どうにもね」
気まずいものも感じるというのだ、そして景子もだった。
自分の布団の中からだ、苦笑いで四人に言った。
「そうよね、何か気になるわよね」
「同じお布団とかベッドの中に一緒にいたらどうしても」
「日本じゃあれなのよ」
ここでこの話をしたのだった、景子は四人にそうした。
「同性愛はね。このお話いつもしてるけれど」
「信長さんとかね」
「他の人もよね」
「普通だったからね」
とにかくそうした話には枚挙に暇がない国だ。オスカー=ワイルソも日本にいれば何の罪に問われることなかった、絶対に。
「それで罪に問われた人いないわよ」
「一人もよね」
「誰も」
「そう、誰もね」
まさにだ、一人もなのだ。
「それで罪に問われていないから」
「キリスト教じゃ死刑よね」
「ええ、そうだったわ」
里香に過去の欧州のことを話した。
「こっそり、っていう人はいたけれど」
「それでもよね」
「キリスト教だと同性愛は最大の罪の一つだから」
だからフランシスコ=ザビエルも日本には恐ろしい悪徳がはびこっていると口を極めて批判したのだ。彼等の倫理観からは想像出来ないことだからだ。
「とはいってもこの町の神父さんも牧師さんも同性愛では怒らないから」
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