第七十一話 おとそその一
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第七十一話 おとそ
元旦の仕事が終わった、それでだった。
五人は景子の家の中でそれぞれのおせち料理を出した、中にある料理も食材も色々だ。景子はそのそれぞれのおせち料理を見回してからこう言った。
「おせちにも個性出てるわね」
「だよな」
美優が景子の言葉に応える。五人共もう巫女の服ではなくそれぞれの私服だ。五人共防寒の為かセーターに厚い生地のズボンだ。靴下も装備している。
その中でも特に厚着の美優が言うのだった。
「それぞれな」
「そうよね、本当にね」
「お肉もあればお魚もあってな」
「お野菜もあってね」
「甘いものな」
「色々あるけれど」
だが、だ。どのおせちもなのだ。
「メニューが違ってね」
「面白いな」
「全くね、面白いね」
「だよな、けれどな」
「それでもね」
ここでまた言う二人だった、勿論卓の上にあるのはおせちだけではない。元旦だからそれでそこに一緒にあるものは。
酒だった、その酒は。
「おとそあるから」
「これな」
「ええ、日本酒ね」
それだった。
「これよ、元旦は」
「そうだよな、それじゃあな」
「飲んで食べましょう」
おとそとおせちをだというのだ。
「そうしましょう」
「うん、おせちはそれぞれ楽しんで」
「五人のをお互いね」
「それじゃあ今から」
「飲みましょう」
「食べような」
五人は景子に応えてだった、そのうえでだった。
おとそと一緒におせちを食べる、そうして酒をかなり飲んでからだった。琴乃は赤くなった顔で四人に対して述べた。
「いや、昨日も飲んでね」
「今日も飲んで」
「飲んでばかりね、私達」
「冬休みってそうよね」
そうなるというのだ、冬休みになると。
「クリスマスと大晦日、お正月はね」
「お酒よね」
彩夏も赤くなっている顔で応える。
「飲んでるわよね」
「そうね、毎年ね」
「お酒がないと」
また言う彩夏だった。
「お正月じゃないわ」
「全くよね、いやそれにしても景子ちゃんのお家のお酒ってね」
このおとその話もするのだった。
「いつも美味しいわね」
「美味しいでしょ、実際に」
「ええ、いつも思うけれどね」
「八条グループからのお供えでね」
「ああ、八条造酒ね」
八条グループの傘下企業の一つだ。日本酒だけでなく焼酎やビール、ワイン、カクテルや各種リキュールと世界中の酒を扱う酒メーカーの大手の一つだ。
「あそこのなのね」
「そうなの、八条グループ全体でいつも八条神社にお供えしてくれて」
「そのお酒が来るのね」
「だからうちはお酒には困っていないの」
そうなっているというのだ。
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