20話:C級映画
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ていたのに。
今日は超絹旗と超C級映画を観て嫌なことから忘れようとしたのに。
先日、それらしき問題な人物と出会ってしまって、あれから何も考えないようにしていたというのにな……なんでここで美琴のことを思い出さなきゃならないんだよ……
もう一回考えてしまうと駄目だ。
嫌な汗が噴出す。
隣でぶつぶつ文句をいうパンチがもの凄い脅威な少女の存在も忘れてしまうほどに考えこんでしまう。
オレは知っている。御坂美琴が今どういう状況で1人苦しんでいるのかを……
オレは知っている。彼女にとっての地獄の実験を止めるため、1人で戦っていることを……
オレは知っている。『妹達』と呼ばれる御坂美琴のDNAから作られた2万のクローン人間たちが、レベル5第1位の一方通行をレベル6にするための実験で殺戮されていることを…………。
オレはそれを知っているけども、目を背けた。
オレはそんな残酷な実験を知って苦しむ少女を知っているけども、助けない。
はっ、そうだよ、オレは平穏を望むサイテー野郎だ。だから、オレは彼女を見捨てるんだ。
……それに、彼女は助かる。救われる。
助からない命もたくさんある。一万ほどの少女たちは犠牲になるだろう。
美琴にもオレにもこの物語の主人公でも助けられない命があるんだ。
でも、それでもこの物語は、事件は解決するんだ。
オレじゃなく、カミやんという本物のヒーローによってだ。
だから、オレは頑張らない。命もかけない。
「さあ、お口直しに超最後の映画です」
だから、オレはこうやって超絹旗とC級映画を観続けるんだ。
「超近簿、夜の部のC級映画はここ学園都市を舞台にした超アニメだそうですよ」
「え、なんだって??」
ついにオレも難聴スキルが身についたか。
嫌なワードを聞くと発動する便利な能力である。
「私、今回始めて観るので超楽しみなんです。タイトルは【とある魔術の禁書目録〜妹達編〜】ですよ」
「……え、なんだって??」
もう超不吉なタイトル名だった。
誰だよ、これ仕組んだ奴。ぶっ飛ばしてやる。
もう、やだー。
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