第26局
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−まこと、立派なものです。”先方がにくまれ口を叩くなら、それには答えず、勝負に勝つべきである。”まさに、ヒカルの一人勝ちですね。
憤っていた佐為も、ヒカルの指導の様子を見ている間に、いつしか落ち着いていた。
−こうして、弱い者達を導いていくことも、強者としての義務ですものね。この者たちにとっては、良い勉強になったことでしょう。まさに、いろいろな意味で。
「…と、ここで塔矢が投了と。つまり、ここまで塔矢に、悪手はなかった。すべての手が、互いの手を深く読みあった結果さ。この碁に関して言えば、塔矢がオレに力負けしたってだけだ。塔矢は弱くない。強い。そして、俺は塔矢より強いってだけさ。だから、このまま変な噂を続けてると、恥をかくのはお前らだぜ?」
沈黙する皆の様子を見て、岸本は聞いた。
「それはどういう意味だい?」
「塔矢は必ずプロになる。近いうちにな。そしてプロでも大活躍するさ。それだけの力を持ってる。それなのに、同じ中学の囲碁部で塔矢を見下してたら、周りにはどう見える?何が真実だったかなんて、誰が見たってはっきり分かるだろ?人の陰口たたく暇があったら、自分の腕を磨くんだな。囲碁の勉強には終わりなんてないんだからな!」
そのヒカルの言葉に、誰も返す言葉がなかった。
「進藤君、今日はありがとう。私も、部員の指導不足を痛感させられたよ。君の解説で、皆、君達の力を理解できたと思う。今回の件、本当に申し訳なかったね」
尹は、そう言いつつヒカルに頭を下げた。
「気にしないでください。オレが気に食わなかったから勝手にしたことです。そんじゃ、おじゃましましたー!」
そういって、対局室を飛び出していくヒカル。
対局室の中の部員達の心中はさまざまだった。感動している者。感心している者。驚愕している者。憧れの念を抱いた者。かっこ良さに半ば惚れた者。自らの言動に呆れている者。反省している者。悔やんでいる者。
そして、なおも憤りの念を抱いている者。
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