大空の支配者
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「――――――――大空の支配者」
緑色の光を全身に纏ったルーは、小さく紡いだ。
圧倒的な存在感を放つその姿は、1度見たら2度と目を背けられないんじゃないかという錯覚に陥りそうなほど。
周囲の風が、音を立てる。
「第二開放?・・・そんなの聞いてないケド、殺しがいがありそうじゃん!」
目を見開いていたマミーだったが、その表情はすぐに驚愕から嬉しさへと変わる。
瞳がキラキラと輝き始め、その手に一瞬でナイフが握られた。
「それじゃあその第二開放とやらの力・・・見せてもらうよっ!」
嬉しそうな笑顔を浮かべたマミーは、容赦なくナイフを投げる。
抜群のコントロールで放たれたナイフは真っ直ぐにルーの心臓辺りを狙っていた。
「ルー!」
だが、ルーは何もしない。
風の流れを操ってナイフの軌道をずらす事も、風の盾を張る事もしない。
ただ、先ほどと変わらず、そこに突っ立っている。
ルーシィが思わず叫び―――――
「!」
「は?」
ナイフが、弾かれた。
ルーは全く動いていない。
当たる!―――――というところで、見えない手が現れたように、ナイフを弾いたのだ。
ルーシィは目を見開き、マミーは訝しげな表情になる。
「アンタ、今・・・何したワケ?アタシの目がおかしくなけりゃ、突然弾かれたように見えたんだけど?」
「うん、そうだよ。僕はナイフを弾いた・・・動かずに、ね」
マミーの言葉にルーは微笑んだまま、答える。
ふわふわと揺れるエメラルドグリーンの髪の下で、幼い印象を与える、男にしては大きい黒い垂れ気味の目が輝いた。
「一応忠告。この状態の僕に勝てたのは今までで1人だけだよ・・・こんな事言いたくないけど、お前じゃ勝てない」
「・・・ふーん、言ってくれるじゃん」
ギラリ、と。
マミーの両手に握られたナイフが鈍い光を放つ。
ボサボサの髪から垂れ目を光らせ、笑う。
「アタシは“死の人形使い”マミー・マン!そう簡単に負けてやれないのさ」
マミーが軟じゃない事なんて、ルーは知っている。
初対面だとしても、その強さは既に確認済み。
だけど、それでも。
第二開放のルーに、敵はいない。
―――――――1人の、少女を除いて。
「その勇気と覚悟は凄いモノだよ。だけど、僕も負けられないんだ。だって・・・」
そして、ルーは笑う。
この空気を一気にぶち壊す、空気クラッシャーの名に相応しい、この場に似合わない笑み。
幼くて、子犬と評される可愛さで、満面の笑みを。
「負けたら・・・ティアに、怒られちゃうからねっ」
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