大空の支配者
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ヴィーテルシアは、苦戦していた。
塔の1つにいる、金髪三つ編み夕日色の瞳の少女姿のヴィーテルシアは軽い足取りでバックステップする。
「逃げないでくださいデス。私はアナタを消すんですからデス」
「生憎だが、私は消える訳にはいかない。ティアが生きている限り、私はその傍で相棒を名乗り続ける」
右手に『オーロラガーデン』と呼ばれる杖を持ったヴィーテルシアの表情は険しい。
目の前で蠱惑的に微笑むブロンドカーリーヘアの女性、セスがかなりの強者なのだ。
肉感的な肢体に肌が多く露出される服装、とびっきりの美人顔。
だが、ヴィーテルシアはセスに対して見惚れる事も惚れこむ事もない。
(フン、ティアの方が何千倍も美人だな)
最近クロスの影響を受けまくっているヴィーテルシアである。
ぎゅっと唇を噛みしめて静止したヴィーテルシアを不思議に思ったのか、ちょこんとセスが首を傾げた。
「どうしましたデス?敵にこういう事を言うのもアレですが、戦中は油断大敵デス」
「油断などしていない。ただ、私の相棒が貴様よりも美しいという事実を確認しただけだ」
「そうですかデス」
語尾にデスをつけるセスだが、言葉によってはおかしな敬語になる。
「女帝の業火!」
ヴィーテルシアは得意の魔法である女帝の業火を放つ。
紅蓮の炎が床を駆け、セスへと向かって行く。
対してブロンドカーリーロングヘアを耳にかけたセスは右腕を薙ぎ払った。
「雨よ、降れ」
上空に魔法陣が展開する。
そこからバシャバシャと雨が降り始めた。
その雨はヴィーテルシアの炎を、時間もかけずに消していく。
「チッ・・・天候魔法とは厄介な」
「そんな事ないデス。私にとっては敵を潰すのが楽になるいい魔法デス♪」
噛み合っていない2人の会話。
オーロラガーデンを強く握りしめつつ、ヴィーテルシアはセスを睨んだ。
ナイフが弾かれた。
マミーが放ったナイフがルーに当たる前に軌道を逸らされる。
「キャハハハッ!やっぱそう簡単にゃやられてくれないか!第二開放とやらは!いいねぇ!楽しくなってきたよ!」
満面の笑みでマミーは床を思いっきり蹴り上げた。
ドン、という低い音と共にマミーの体がふわりと宙に浮く。
その両手には8本のナイフが器用に握られていた。
「だけどっ・・・この数全部を弾けるとは思えないなぁっ!」
空気を切る音が響き、8本のナイフがルーへと向かう。
それに対し、ルーは静かに左手を向け――――
「大空旋風!」
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