暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
60話:英雄(ヒーロー)≠ヘ遅れた頃にやってくる
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「「「「「っ!?」」」」」

突如彼の体に水色のバインドと緑の鎖が絡まり、彼の動きを止めた。
そのバインドと鎖の色に見覚えのあるなのは達は、急いで鎖の出所へ視線を移す。

そこには肩で息をする二人の少年―――手のひらを向けているクロノと、目の前の魔法陣から鎖を出しているユーノがいた。

「士…何をするつもりだ?」

訳のわからない状況の中、最初に口を開いたのはクロノだった。しかし士はその疑問に答えることはなかった。
この状況に付いて来れないなのは達は、只々戸惑うばかりだった。何故クロノが、ユーノが彼の動きを止めたのか……

一向に質問に答えない彼に、遂に苛立ちを隠せなくなったクロノが再び口を開いた。

「ならば質問を変えよう――――“何処へ”行くつもりだ?」

クロノのその質問を聞いた瞬間、なのは達は反射的に彼の方へ顔を向けた。
何処へ…行くつもり?まさか…ようやく彼を連れ戻して、戦いも終わったというのに…?

そんななのは達の疑問の目を感じてか、今動かせる首だけを動かしてチラリとこちらに顔を向けた。
だがそれも一瞬の事で、彼はすぐに前へ向き直った。そして、

「――――…悪いな」

ようやく彼が口を開くと同時に、クロノのバインドとユーノの鎖が一瞬にして粉々になる。
なっ、と見ていた誰もが声を上げた。彼がバインドの解除ができる程魔法に関して器用な方だと思っていなかったからだ。しかし今のはバインド解除というより―――バインドの“破壊”とでも言おうか、見慣れない壊れ方だった。

そんな誰もが驚いている状況の中、彼はそれらを気にせずカードをバックルに。

〈 ATACK RIDE・INVISIBLE 〉

その瞬間、彼の姿は煙のように消え去った。

誰かが逃走する彼に文句や言葉を投げかける暇もなく…彼はその場から

「―――どうして、なの…」

そう呟くのは、その目に涙を浮かべているなのはだった。
ようやく取り戻せたと思ったのに…また一緒に、同じ時間を過ごせると思ったのに……

彼はもう―――ここには、いない。

「どうしてなの…どうして……どうしてっ…―――士くぅぅぅぅぅんっ!!」

目から溢れ出てくる涙は静かにアスファルトの地面を濡らし、海鳴の街に悲痛な叫びが木霊した。



 

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