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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第349話】
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 ……一部から聞こえてくる俺の対応に正直げんなりしている。

 労働力って言ってた部活動は体育系の部活動――重い機材の出し入れを俺一人にやらせようという魂胆なのだろう。

 そんな俺の考えを他所に、各部活動の一夏に対してのアピール合戦が始まったのだった。


「じゃあまずは織斑くんにはサッカー部に来てもらわないと!」

「何言ってんのよ、織斑くんはラクロス部に来るのが先なんだからね!?」

「料理部もいますよ〜。 織斑先生を唸らせた料理の腕、披露してね〜」

「はい! はいはい! 茶道部ここです! 今なら織斑くんに和菓子をプレゼント!」

「剣道部は、まあ二番に来てくれればいいですよ?」

「柔道部! 寝技、あるよ! 来てくれれば寝技かけてあげる!」


 そんな感じで一夏へのアピールが凄まじく、正直鼓膜が破れるのではと思った。

 因みに一夏は「何で俺ばかりなんだよ!」って言ってるが喧騒のせいで聞こえたのは俺ぐらいだろう――と。


「それでは、特に問題も無いようなので、有坂緋琉人くん及び織斑一夏くん両名は生徒会へ所属、以後は私の指示に従ってもらいます。 ――ただし、各部活動の皆さんに一つだけ注意を――有坂緋琉人くんに関して、不当な扱いをした部活動への派遣は今後一切無いので気をつけてくださいね♪」


 まさに釘を刺すとはこの事だろう――労働力として考えていた部活動の面々も流石に派遣は無しと言われればそうそう俺をぞんざいな扱いにしないはず――多分。

 ホッと一息つくと、楯無さんと目が合い、彼女が軽くウインクすると自然と頬に熱が帯びるのを感じた。


「……っていうか楯無さんの指示に従うとか、俺の意思は!?」


 そんな一夏の声も虚しく喧騒に消えていく。

 ……残念ながら一夏、君の意思とは関係無く事が進んでいくのだよ。

 どちらにせよ、一夏が不当な扱いを受けることは無いだろうし……俺は一応楯無さんが釘を刺したとはいえ、完全には油断は出来ないだろうと改めて思う――それだけ、俺と一夏の格差があるのだ。

 まあ美冬的に「顔面格差で言えばお兄ちゃんの方がイケメンだからね」とのこと、身内の贔屓は相変わらず……。

 ……今朝の美冬はいつもと変わらずに俺と接してくれた。

 キスをしたというのに特に恥ずかしがる事も無いのは肝が座ってるのかはたまた別の思惑があるのか……心中はわからないため何とも言えないが……。

 とはいえ、色々また波乱が起きそうなのは明白だろう……軽く息を吐くと、俺は体育館の天井を仰いだ……。
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