第十三話
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混乱のさなかにあるのは帝国だけではない。自らの国を帝国に売り渡し、フェザーンの形式上の統治者であるボルッテクもである。帝国の庇護がなくなればボルテックとその部下達は怒り狂ったフェザーン人に襲われることは明白である。そしてフェザーンを脱出する船はほとんどが帝国が使用しており彼らが使う船はなかった。そんなボルテックの元に通信が届いた。
「いやはやずいぶんお困りのようで」
声の主は同盟軍バグダッシュ大佐だ。
「なんだ、同盟軍が私達を助けてくれるのかね?」
「ええ。ただしあなたがどれほど私達に利をもたらしてくれるのか、によりますがね」
「わかった。フェザーンが持っている航路図をすべてやろう。商業データもだ」
「ただの航路図はいりませんな。帝国のはイゼルローンで手に入れましたし、おおまかな情報は他のフェザーン有志のかたがたから頂いておりますので。もっと他にありませんかね?」
どこまで情報を開示するべきか返答に窮したボルテックを前にバグダッシュは気にせず続けた。
「あなたに与えられた選択肢は3つです。いかり狂ったフェザーン人に殺されるか、私達に従うか、なんとか自力で生きるかです。ではまた後で伺ます」
通信は同盟側から切られた。ボルテックは悪態をつきたくなった。自力で脱出できる可能性は低く、同盟を頼るにしろ本当に自分を守ってくれるかどうかはわからない。おそらくあのヤン元帥なら約束は違わないだろうと信じるしかないのだ。
メックリンガー艦隊を撃破した同盟軍は追撃に移った。何も障害がない回廊をすさまじい進軍速度で進み、ついに惑星フェザーンまで到達した。軌道上からの砲撃と爆撃後、強襲揚陸艦が大気圏へ突入、帝国施設の制圧を開始する。同盟艦隊の半分ははそのまま進軍し回廊を帝国領に向かって逃げている船を捕捉しに向かう。
脱出が間に合わずフェザーンに取り残された帝国軍は抵抗するも軌道上からの砲撃で重火器や陣地は壊滅、その後降下してきた同盟軍最強の陸戦隊の前になすすべもなかった。なんとか脱出できた船も軍用船には速度が劣る上、帝国領まで一本道の航路を通らざるを得ず次から次えと捕えられる。
「地上で捕えた生存者はほとんどが非戦闘員です。戦闘員は降伏が遅れ被害が出ています。こちらの戦闘員の死傷者は軽微です。正直戦闘とはいえませんな」
「わかった。大目に人員輸送艦を持ってきたが全員は乗らないだろう。重要な役職についてる人から連行してくれ。それが終わり次第フェザーン回廊を抜け帝国領に侵入、イゼルローン回廊へ向かう」
ヤンはフェザーン地上にいるシェーンコップとの通信を切った。
「作戦は成功だ。あとは帰るだけだ」
「帝国領を突破し帰るとはまた無理がありませんか?」
「別にむずかしいことじゃないはずだよ。帝国領に残っているのはワーレン艦隊だ
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