第七十話 大晦日その九
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「今から拝みに行こう」
「ちょっとお外に出てな」
美優は神社の境内を見ながら言った。
「今のうちにだな」
「そう、ここから出て手を合わせよう」
こう美優にも応えてだ、そのうえで。
景子は四人を外に案内した、そしてだった。
外で初日の出を見た、今まさに日が昇る時だった。里香はその初日の出を見ながら微笑んで四人にこう言った。
「ねえ、やっぱり違うわよね」
「うん、初日の出はね」
「またね」
「何か昔はね」
ここで里香はこんな話もした。
「一年中こうしてね」
「日の出を拝んでいたの」
「そうだったの」
「そうみたいよ」
この元旦だけでなくだ、一日中そうしていたというのだ。
「明治の頃まではね」
「あっ、そのお話聞いたことがあるわ」
ここで景子も里香に言ってきた。
「小泉八雲がそれを見て驚いたって」
「そう、昔の日本は毎日日の出の時に起きて」
全員がというのだ。
「手を合わせていたらしいのよ」
「そりゃまた凄いな」
その話を聞いてだ、美優は驚いた顔で里香に言った。
「毎朝か」
「そう、日の出に手を合わせていたのよ」
「それはまた早起きだな」
唸りさえして言う美優だった。
「あたしには絶対に無理だよ」
「私も」
「私もよ」
琴乃と彩夏もこう言う。
「ちょっとね」
「早起きにも程があるでしょ」
「殆どお坊さんだよな」
こうまで言う美優だった。
「それだと」
「私も毎朝早いけれど」
神社の娘の景子の言葉だ、彼女が言うには。
「日の出と一緒に起きるっていうことは滅多にないわ」
「そうよね、幾ら何でも」
「毎朝はね」
「お父さんとお母さんもね」
そこまではというのだ。
「禅僧の人なら別だけれど」
「やっぱりお坊さんは朝早いのね」
「そうなのね」
「大体宗教関係者は早起きよ」
朝早く起きて朝の参拝等をするのだ、だから宗教関係者は殆どの場合早起きなのである。これは大抵の宗教でそうだ。
「神社もね」
「けれど日の出と一緒は」
「今ではなの」
「そうはないわ」
こう話すのだった。
「元旦とかは別だけれど」
「やっぱりそうなのね」
琴乃も景子のその言葉に頷いた。
「日の出と一緒は」
「ええ、何でも天理教で修養科っていう修行期間みたいな時は相当早いらしいけれど」
「何時位なの?天理教のその修養科は」
「夏は四時半、朝の掃除当番の時は三時半よ」
「三時半って」
「早いでしょ」
「滅茶苦茶早いわ」
琴乃は驚きを隠せない顔で話した。
「幾ら何でも」
「ちなみに禅宗だと普通が三時半、早い場合二時半よ」
「真夜中じゃない、二時半って」
「禅宗はまた特別なのよ」
修行により悟りを開くことが目的だからだ、禅宗の修行が厳しい
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