クズノハ提督始動
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の主砲が火を吹いた。
「なのです!」
電の号令なのか口癖なのかよくわからない一声によって、『駆逐艦 電』も砲撃を開始した。
「これが、戦場…」
葛葉はたった一人で硝煙と弾薬が飛び交う戦場を見つめていた。
戦場はビデオでならカリキュラムの中で何度も見た。しかし、実際に体験するのは無論生まれて初めてである。平成の世に生まれ、戦争とは全く無関係な生活を送ってきた彼にしてみれば、これ程に環境の違いを見せつけられることなどまず無いだろう。
しかし、彼は気を呑まれることもパニックに陥ることもなく、何故か平常を保っていた。
「何だか…非現実的だな。でも現実なんだよな」
一際大きな爆発音が響いた。
葛葉は我に返り、戦場を見渡した。
《あう…》
「い、雷!?」
「お姉ちゃん!?」
《なによもう、雷は大丈夫なんだから!》
煙は雷の方から上がっていた。
《え、火災!?消火しなきゃ!》
火のないところに煙は立たぬとばかりに、雷の甲板からは火の手が挙がっていた。
「ぐ…雷は消火活動に専念!誘爆を防げ!電はそのまま砲撃続行!」
「りょ、了解なのです!」
中破した雷の仕返しとばかりに電の主砲より砲弾が放たれるものの、敵の予想以上の機動力により全て避けられてしまう。
「速い…」
「狙いが定まらないのです!」
敵は一隻こちらは二隻なのにも関わらず、葛葉達は明らかに苦戦していた。それもその筈、葛葉達はこれが初陣であるのに対し、敵の駆逐艦は広大な海より単独でやって来た強者。練度の差は歴然である。
「くそッ!これが練度の差って奴かよ…」
「司令官さん…」
電が声をかけようとしたその時
「じゃあ、動きを止めればいいっぽい?」
「「え?」」
次の瞬間、二人は目を疑った。
先程まで追われて逃げていた筈の船が敵艦に突撃接触しているではないか。
「お、おい!!何やってる!今すぐやめ」
「早く!これあんまり持たないっぽい!」
電は我に返り、全神経を一点に集中させた。
「…命中させちゃいます!」
そして今日一番の爆破音が鎮守府近海に鳴り響いた。
「衝突するなんて初めてっぽい〜!」
「無茶するな!勢いが無かったから軽傷で済んだが…下手すると轟沈だってあり得るんだぞ」
文字通り体当たりな戦い方で敵艦を轟沈させた三人は、途中で合流した艦娘と共に母港へ戻っていた。
「修理、ちょっと時間かかるかも…ごめんね」
「いや…よく頑張ったな。ゆっくり休んで来な」
「ありがと!司令官」
そう言って雷は入渠ドックへ走って行った。
「お前達も休んで来たらどうだ
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