幕間二 氷炭、相愛す
1幕
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ジュードはカン・バルクで待ち合わせ場所の宿を視認するなり、ダッシュで宿に駆け込んだ。
今日は、フェイとセルシウスと3人で約束した、セルシウスの思い出の地巡りの日だ。
ジュードはちゃんと時間通りに着くようスケジュールを繰ったのだが、こういう日に限って仕事ではトラブルが起きやすい。それらを処理していたら、待ち合わせ時間より1時間も遅れてしまった。
白頭の少女がロビーの窓際のソファーに腰かけ、窓越しに雪空を見上げている。
「フェイ!」
彼女はジュードに呼びかけられてふり返った。
「待たせてごめんねっ。仕事が長引いちゃって」
「イイよ。ジュードだったら」
まるで恋人同士のデートの待ち合わせのようだ。浮かんだ考えを後ろめたさごと、頭を振って払う。自分にはミラがいるのだ。
「寒かったでしょ。あったまってく?」
「いや、ここで落ち着いちゃったら二度と出たくなくなりそうだから。すぐ行こうと思う。いい?」
「ジュードがそうしたいなら」
こうして話していると、初対面の時からフェイはずいぶんと感情豊かになった。それにフェイは周りを観察し、気遣うことも増えた。
こういう感慨はルドガーの領分だが、ジュードとしても、深く関わった分、フェイの成長が喜ばしく――同時に不安だった。
ジュードとフェイは連れだって宿を出た。さすがに宿の中でセルシウスを呼び出すわけにはいかないからだ。二人でモン高原側の門まで移動した。
門の近くに人がいないのを確かめ、ジュードは白衣から源霊匣を取り出した。フェイが化石にマナを注ぎ、ジュードが起動スイッチを入れる。
装置は宙にセルリアンブルーの球形立体陣を編み上げ、陣の中にセルシウスが顕現した。
『ここは氷の霊勢が強いな』
セルシウスがカン・バルクに降りしきる雪を見上げる。
「うん。だからちょっとは楽かなと思って」
『確かに悪くはない』
ジュードはフェイと顔を見合わせて安堵した。これでセルシウスによくないと言われたら、わざわざカン・バルクまで渡った意味がなくなってしまうところだった。
「行く先はキジル海瀑、ガンダラ要塞、イル・ファンでよかったかな」
『ああ。それで間違いはない。……ただ』
「ただ?」
『一ヶ所追加したい場所がある。リーゼ・マクシア寄りの海上だ』
「海の上かぁ……シャン・ドゥでワイバーン借りてから回るべきかな」
「フェイ、何とかできるよ。ローエンがよく使うグライダーみたいな滑空方陣、アレ出して乗ってけば海の上でもヘーキ」
指揮者と渾名されるローエンの精霊術まで使えるフェイに対し、ジュードは驚きを禁じえなかった。
〈妖精〉のコードネームに込められた畏怖を、フ
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