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ネギまとガンツと俺
最終話「麻帆良祭〜最後の分岐点〜」
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「……仕方ないネ」

 例え己を蝕む悪意の力ですら、計画成就のためならば構わない。それほどの想いが、超にはある。

 だから。

 忌むべきであり、おぞましいほどの、本来は使うべきでない力にスイッチを。

「ラスト・テイル マイ・マジック スキル・マギステル」

 そして、彼女は最後の力を行使する。




「ラスト・テイル マイ・マジック スキル・マギステル」
「……まだ、む?」

 ――まだ策があるのか。

 そう言おうとしたタケルの言葉がピタリと止んだ。

 それはまだ策を持っているという周到さへの呆れたわけでも、強力な魔法の力を感じたからでもない。

 ただ、超鈴音の表情が苦痛に歪む瞬間を見たから。

 ――苦痛を必要とする力……だと?

「■■■■■■■■……」

 タケルには理解の出来ない言語を呪文として吐き出す彼女の顔は、文言が進むにつれて頬が引きつり、歯を食いしばる様をありありと表している。

「ふふっ」

 苦痛から歪みそうになる顔を誤魔化すために笑顔を浮かべ、その最中にすら呪文の詠唱を止めはしない。

 ここにきて、タケルは本当の意味で超鈴音を尊敬するようになっていた。

 ――超さん、キミは……一体?

 何があったか、どうしてそうなったか。たかだが14、5年しか生きていないような少女が必死になって自分の体をかけて戦い抜こうとしている。

 タケルは彼女のこの戦いにかける意気込みを侮っていた。

 全ての計画が瓦解すれば、普通は諦める。それは策士であればあるほどに、状況を冷静に見ることができるからだ。つまり、タケルはすぐに超が諦めるものとふんでいた。

 だが、実際はそう上手くいかなかった。

 彼女はなにがあっても戦いに勝つ強い意志を持っていた。それは不利だとか、そういった一切の状況に関係するような甘いものではない。

 激しく、強く、烈しい一途な信念。

「……辛そうだな」

 だから。

 フと呟いたその表情は、気付けば無色。

 つまり、それは――。

 ――タケルが、本気で戦う合図。

「ふぅ……ふぅ」

 呼吸を繰り返し、彼女の攻撃方法にすら目星をつける。

 彼女は現在、未だに空中にいる。

 そして、空を飛べないタケルは未だに飛行船の上。

 ――ならば、一つ。

 お決まりのガンツソードを居合のように腰だめに構え、コントローラーをいつでも発動できるように左腕部に装着。周囲をさりげなく見渡し近くに浮かぶ飛空挺がないことに内心で舌打ちを。だが、それをまるで気にした様子もみせずに――

「――こい」

 まるでタケルの呟きに答えるように、超のそれは放たれた。


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