最終話「麻帆良祭〜最後の分岐点〜」
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の策を打ち破り、全てを終わらせようとしていた。
「……なぜ、ネ」
「む?」
「なぜ戦うネ? この戦いには私の未来がかかてるヨ! 今、魔法を世界に認識させておかないと悲劇が!!」
感情を剥き出しにした、彼女の心。
それは真摯で、真実が。
だから、タケルは言う。
「……キミが未来を大切にしたがっているように」
「……」
「この現在を、俺の目の前にあるこの今を、俺は守りたい……それだけだ」
「……っ!」
超の歯がギリと鈍い音を響かせた。
超もタケルも既にそれぞれの中にそれぞれの想いが存在している。それを口先で曲げることなど、出来やしない。
タケルはタカミチと同じように学園側の人間。だが、想いはタカミチのそれより遥かに浅くて、凄まじいほどに単純。今を大切にし、未来の命に一筋の希望も可能性も見出そうとしない。
そんな、誰よりもタケル自身のための――横暴とも我侭ともとれる強い想い。
だから、その分。
それは揺らがず、倒れない。
超はカッと見開いた目で、間合いをとる。飛行船の上からも身を投げ出し、空を舞った。
「……?」
さすがに空は飛べないらしいタケルは、まだ何かするのか? とでも言いたげな顔で超を見つめる。
――くっ。
その余裕が超には気に入らない。
「これなら!!」
肩部に装備されていた最新鋭の指向性、自動性能を備えたビーム兵器を発射。
まるで某MS兵器のファン○ルのように襲い掛るソレは、次の瞬間にはタケルが取り出したソードによって切り刻まれた。
だが、それは囮。
その時には彼女が持つ全ての強制時間跳躍弾を配置。
数百発もの弾丸は一切の隙間なくタケルに放たれ――
――空中の一部がごっそりと抜け落ちた。
そう思えるかのように一瞬で、その空間にあった半分以上の弾丸が地に堕ち、消え去った。
「ふぅ」
小さく息を吐き、余裕の表情でその身を躍らせる。隙間だらけになった強制時間跳躍弾の雨は、最早、飛行船の屋根に着弾するばかりで、タケルに少しでも当たる気配すらない。
「まだ……やるのか?」
「くっ……!」
――化け物ネ。
呟いていた。
超による全ての初見である筈の攻撃に、タケルは恐ろしいほどの順応力をみせて、即座に理解し、反応する。
――全ての一切が通用しない。
それら一連の動きは超にそう思わせるのに十分なほどの異様さを示していた。それほどの、圧倒的強さ。
それでいてまだ本気の一端でしかない様子を、彼女はヒシヒシと感じていた。
――かなわない。
だが、それでもこの計画は今の超鈴音にとっての全てだった
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