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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十七話 憂鬱な人々
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それを殺した……。
「急がねばなりません。公がそこまでの姿勢を示した以上、我々も結果を出さなければ」
クレメンツが厳しい声を出した。
「そうだな、急ごう」
俺が答えるとリューネブルク、ケスラーも頷いた。急がなければならない、ブラウンシュバイク公があの二人を切ったのは我々に対する援護であり早く混乱を収めろという叱咤でもある筈だ……。
宇宙歴 796年 3月 9日 ハイネセン 三月兎亭 ミハマ・サアヤ
ウェイターが注文を取りに来ました。私と母は魚がメインのコース、弟のシェインは肉がメインのコースを頼みました。飲み物は私と母は白ワイン、弟はウーロン茶です。シェインは寮生活ですから赤い顔をして戻るわけにはいきません。一つ間違えると退学処分になります。
「姉さん、ここ結構高いんだろ」
「気にしないの。こうして三人で食事するのは久しぶりなんだから」
「そうだけどさ、士官候補生じゃ入れないところだから気になるよ」
弟は周囲をキョロキョロと見回しました。あんたね、もう少し落ち着きなさい。ヴァレンシュタイン提督みたいになれとは言わないけど。それじゃ戦場では最初に戦死するわよ。
母はちょっと不機嫌そうです。“たまには良いでしょう”と言うと“まあたまにはね”と不承不承母は頷きました。
「卒業したらまた此処でお祝いしてあげるわ」
弟のシェインが嬉しそうに“有難う”と言いました。素直で宜しい。
今日は私がハイネセンに戻ってきて最初の日曜日です。という事で家族皆で夕食を食べようという事になりました。支払いは私です、ちょっと奮発して三月兎亭を予約したんですけど母はそれが気に入らないようです。もっと安いところで良いのにと思っているのだと思います。
「姉さん、昇進するの?」
「みたいね」
「はあ、ミハマ大佐か。姉さん、凄いな」
弟のシェインが溜息を吐きました。正直に言うと私も溜息を吐きたい。何時の間にか大佐になってしまいました。どう見てもエリート高級士官です。同期でも私以上に出世している人間は居ません。戦死者を含めてもです。もっともこれから先は厳しいだろうという事も分かってはいます。
「じゃあ今日は御祝いだね。良いのかな、姉さんの奢りで」
「良いのよ、お給料上がるんだから。それに出兵したから手当も出るし気にしないの」
出兵すると危険手当が支給されるのですがこれが結構な金額になります。戦争したがる軍人が減らないのはこれが有るからかもしれません。戦死する危険性を考えなければ戦争は結構割の良い仕事と言えるでしょう。おまけに勝てば昇進してお給料アップです。
「ヴァレンシュタイン提督は?」
シェインの質問に母がピクッと反応しました。母は提督の事を良く思っていません。あえて気付かないふりをしました
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